5月26日付
揃うた、揃いましたよ相撲取り衆が 稲の出穂よりなおよく揃た……アア、ドスコイ、ドスコイ◆これは相撲甚句の前歌だ。日本相撲協会はきのうの番付編成会議で十両に昇進する力士13人を決めた。一度にこれほど多数の十両昇進は異例で戦後最多だ◆揃うた、揃いましたよと歌いたいところだが、手放しでは喜べない。「八百長に関与」と認定された力士の引退や解雇で、先の技量審査場所は定員より幕内で7人、十両で10人少ない状態で行われた。13人はその穴埋め。7月の名古屋場所通常開催を目指す応急手当てでやむを得ない◆といえば、それまでだが、負け越した力士2人を昇進させたのは???だ。昇進は勝ち越しが当たり前、勝ち越しを「給金を直す」というではないか◆力士はそれを目指して精進する。負けて給金直しは絶後にしよう。大横綱双葉山の新入幕は昭和7年、「春秋園事件」の力士大量脱退の穴埋めだった◆双葉のように穴埋めから大化けする力士はいないか。〈禍転じて福〉を夢想する。
(2011年5月26日13時56分 読売新聞)
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