Saturday, May 28, 2011

18/05 よみうり寸評

5月18日付 

 〈過ちては改むるにはばかることなかれ〉で見直しは当然だ。が、東京電力の工程表の見直しには首をかしげることが少なくない◆原発の安全神話などもう崩れたが、単純にも神話を信じていた側からみると、今ごろ「メルトダウン」は3・11の発生後早い時期に起きていたと聞かされても???と思うばかりではないか◆そんな重大なことを東電の専門家集団が今ごろ知ったなんて、まるで〈芋の煮えたもご存じない〉だ。知っていたなら許し難い隠蔽といわれても仕方ない◆不都合な事態に目を向けず軽く見ていたなら、最初の工程は失敗すべくして失敗したことになる。原子炉の格納容器を水で満たす「水棺」方式は断念に至った◆〈覆水盆に返らず〉だが、大量の水を注ぎながら大量の水漏れに気づくのも遅かった。「水棺」の代わりに汚染水を浄化して原子炉に戻す「循環注水冷却」に◆皮肉に見ればこれは覆水を盆に返す方式だ。収束へ重要な冷却方式を変えても、収束の時期は見直さない。これも分かりにくい。

(2011年5月18日13時55分 読売新聞)

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