5月17日付
「東京電力や政府の発表があいまいで事故や放射能の危険を過小評価しようという傾向がみられることにドイツのジャーナリストたちはいらだちと不満を感じている」◆今回の災害に対するドイツ人の反応についてドイツ在住のジャーナリスト・永井潤子さん(元ドイッチェ・ヴェレ記者)が「未来」5月号にこう書いている◆これによるとドイツのメディアは、秩序正しく辛抱強いなど日本人の国民性を多く報じてきたが、原発の危険性に対する感度の違いも早くから伝えている◆広島、長崎を経験した唯一の被爆国日本がなぜ原発大国になったのか、原爆への反対運動は起きても大規模な反原発運動がなぜ起きないのか◆ドイツ人にはそれが不思議なようだ。地震、津波、台風に襲われることの多い国が50以上も原発を作ったこと、海辺の原発の危機対策がお粗末なことなどを伝えている◆同情から批判はまだ控えめだが、お粗末な人災面が明らかになるにつれ日本批判が厳しくなるのではないかと永井さんは心配している。
(2011年5月17日13時45分 読売新聞)
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