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Wednesday, April 27, 2011

27/04 福島第1原発:迅速な情報提供を約束 西田国連大使

 1986年に旧ソ連のウクライナで起きたチェルノブイリ原発事故から25年となった26日、事故の教訓などを話し合う会合がニューヨークの国連本部で開かれ、西田恒夫国連大使は、今後も福島第1原発事故に関する情報を国際社会に迅速に提供すると約束した。

 西田大使はまた、日本政府が事故の国際評価尺度をチェルノブイリ事故と同じ「レベル7」に引き上げたのは「状況が悪化したからではなく、放射性物質の総放出量を推定するための新しいデータに基づき、国際基準に従って評価したためだ」と強調した。

 西田大使は東日本大震災後「130以上の国・地域、30以上の国際機関などから支援の意思表明があった」と謝意を示した。福島原発事故については「今後、徹底的に検証し、得られる知見や経験を最大限の透明性をもって、国際社会と共有していく」と述べた。

 さらに、国際原子力機関(IAEA)と緊密に協力し、原発の安全性向上に関する「国際的な取り組みに最大限、貢献していく」とした。

 会合は、ウクライナ国連代表部や非政府組織(NGO)が共催。西田大使はチェルノブイリ事故対策への支援国の立場で参加したが、演説の大半を福島原発事故の説明に割いた。(ニューヨーク共同)

毎日新聞 2011年4月27日 10時59分

Sunday, April 24, 2011

24/04 チェルノブイリ―福島事故で教訓新たに

 チェルノブイリ原発事故の発生から26日で25年になる。広大な放射性物質の汚染地では苦難が続いている。福島第一原発でも重大事故が繰り返された今こそ、旧ソ連で起きた悲劇の教訓をしっかり生かしたい。

 事故の被害はなお甚大だ。地元ウクライナでは、原発から半径30キロが居住禁止のままだ。

 時間をおいてがんなどが発症する放射線被害の特徴から、事故が原因の死者を国際原子力機関(IAEA)は、今後の数も含めて4千人と推定する。だが専門家の間には、汚染地の広大さから数十万人の死者が出るとの見方もあるほどだ。

 住民の移住や健康対策、経済への打撃などで、事故発生から30年間に受ける被害総額をウクライナは約15兆円、放射性降下物が大量に落ちた隣国のベラルーシは約19兆円と見積もっている。ベラルーシでは、国内総生産の実に5倍近い額だ。

 事故炉に残る核燃料などを封じ込めてきたコンクリート製の「石棺」改築などにも、国際社会は2200億円を負担する。

 日本では政府や産業界が「事故はソ連の炉だから」と違いを強調し、原発建設を積極的に推進してきた。今からでもチェルノブイリ事故の貴重な経験を学び取り、福島の事故対応にも反映させていくべきだ。

 この節目にウクライナでは先日、原発の安全性をめぐる首脳級の国際会議が開かれた。潘基文(パン・ギムン)国連事務総長は福島の事故も受けて、原子力安全基準の徹底見直し、地震、津波等の自然災害やテロに対する核施設の保安強化などを訴えた。

 原発を当面使い続けるうえで当然すぎる指摘だ。しかし、原発をめぐる世界の状況は四半世紀で大きく変化している。

 チェルノブイリ事故では、共産党支配下での秘密主義や非効率な管理体制が重大な背景となった。いま原発は、共産党支配を維持する中国やベトナム、多くで強権的な長期支配の続く中東諸国に広がりつつある。こうした地域での原発の安全確保には、透明性や説明責任を担保する体制の確立が不可欠だ。

 原発に対するサイバー攻撃の問題もある。核開発疑惑が指摘されるイランで、核関連施設に制御装置を混乱させる攻撃を受けた疑いが出たことで、脅威は現実化した。福島の事故の後で米政府などは、原発をはじめ産業・軍事面の重要施設が抱えるサイバー攻撃に対する脆弱(ぜいじゃく)性を警告し始めている。

 国際社会は原発をめぐるこうした新たな事態にも、早急に取り組んでいく必要がある。

Saturday, April 23, 2011

23/04 社説:チェルノブイリ 25年の教訓を生かせ

 福島第1原発の事故が収束しない中で、1986年4月26日に旧ソ連(現ウクライナ)チェルノブイリで起きた世界最大の原発事故から間もなく25年を迎える。今も放射能汚染で周囲30キロは居住禁止区域のまま。被ばくが原因とみられる子供の甲状腺がんなど、周辺住民の健康被害も続いている。日本も過去の悲劇から目をそむけず、謙虚に教訓を学ぶ姿勢が求められる。

 無論二つの事故を単純に比較することはできない。チェルノブイリでは原子炉自体の爆発と火災で大量の放射性物質が大気中にまき散らされた。福島では原子炉を覆う格納容器から放射性物質が漏れたが、原子炉が破壊されたわけではない。大気中の汚染レベルも10分の1以下とされる。旧ソ連政権は原発職員ら31人の死者を出して約10日で原子炉を封じ込めたが、日本では事故処理の手法も安全への考え方も違う。一方、原子炉1基の事故だったチェルノブイリと違って福島では4基でトラブルが起き、海洋汚染も加わった。

 原発事故の放射能汚染は同心円状に広がるのではなく風向きなど気象条件にも左右される。チェルノブイリでは原発から北東に300キロ離れた地点まで高レベルの汚染が広がっていたことが判明している。日本も今後、原発周辺のさらにきめ細かい汚染調査に取り組まねばならない。

 チェルノブイリ周辺では今も住民の健康被害が報告されているが、ソ連末期の社会混乱など精神的ストレスの影響も指摘され、被ばくとの因果関係は証明できないと切り捨てられる例が多い。長期被ばくがもたらすがんによる死者数も、推計した国際機関によって4000人から1万6000人まで幅がある。低線量被ばくの影響評価が異なるためだ。福島原発の放射性物質漏れも「ただちに健康への影響はない」とされるが、住民への長期にわたる健診と追跡調査を怠ってはなるまい。

 放射能への誤解が生む避難住民への差別、住み慣れた故郷からの退去を拒む人たち、原発閉鎖に伴う代替電源の確保や住民の再就職などは、いずれの事故にも共通する問題だ。周辺地域の汚染除去への取り組みやナタネ栽培による土壌浄化の試みなど、事故後の対策でもチェルノブイリを参考にすべき事例は多い。

 日本で起きた「想定外」の事故は国際社会にも衝撃を与えた。チェルノブイリ事故から25年にあたって19日、ウクライナで開かれた首脳級の国際会議で、日本の高橋千秋副外相は、福島原発事故の早期収束と、検証結果などの情報公開を約束した。事故の教訓を国際社会と共有していくことで新たな国際貢献につなげるよう望みたい。
毎日新聞 2011年4月23日 2時31分

23/04 余録:危機の中の「チェルノブイリ25年」

 その日は初夏の陽光に輝く素晴らしい土曜日だった。週末はメーデー休暇へと続き、人々はうきうきと水泳、日光浴、ピクニック、ボート遊びを楽しみ、野外結婚式も行われた。1986年4月26日、旧ソ連のプリピャチ市のことである▲市近くの原発が爆発したのはその日未明だ。だが「子供を外に出すな」と指示が出て「3日間」の避難が始まったのは翌日だった。ある夫婦の話だ。「何日くらいかしら?」「おそらく永久だ」「でもメーデーのパレードはどうなるの?」「メーデーなんて中止だ」▲そのチェルノブイリ原発事故から25年、プリピャチは今も廃虚のままだ。その間に「グラスノスチ(情報公開)」が始まったソ連は崩壊したが、過去と将来にわたり数千とも数万ともいわれる被ばくによる死は現在も続く▲こう聞けば事故評価「レベル7」と認定された福島第1原発事故が二重写しとなって心が騒ぐのも仕方ない。チェルノブイリのような原子炉の爆発はなく、放射性物質の放出量も10分の1という福島だが、一方で4基の異常が長期化しているという別種の危惧もある▲立ち入りが禁止された警戒区域や計画的避難区域の住民にとって、今なお周囲30キロが居住禁止になっているチェルノブイリの悪夢の再現だけは避けねばならない。また消防士ら多数の犠牲を出したチェルノブイリを振り返れば、人の被害を出さない事故収束も課題だ▲かつては生命や自由を軽んじる体制の崩壊のきっかけとなった原発事故である。一人の犠牲も出さず、一刻も早い危機克服と地域の再建をなしとげるのは、全世界が息を詰めて見守る文明史的挑戦だ。毎日新聞 2011年4月23日 0時12分

22/04 福島第1原発:チェルノブイリ25年 被災男性が来日

 26日で発生から25年になるチェルノブイリ原発事故で被災したパーベル・ブドビチェンコさん(59)が22日来日し、東京都内で会見した。福島第1原発の事故について「日本政府はチェルノブイリのように時間をかけず、早く対策に動き出すべきだ」と訴えた。今後、福岡、大阪などで放射能汚染地の実態について報告会を開く。

 パーベルさんは原発から180キロ離れたロシア・ノボツィプコフ市で被災。事故後は甲状腺がんなどの健康被害や産業の衰退などの影響が続いているとした。被災地の子供に対する差別があったり、汚染の実態を知らない若年世代もいるとして「若者への教育も重要だ」と指摘した。【竹内良和】毎日新聞 2011年4月22日 20時46分