◆柳楽(なぎら)未来
◇脱原発後の地域の具体像示せ
福島第1原発事故直後の昨年3月下旬、全国最多の原発14基が立地する福井県の若狭湾岸に赴任した。先月21日で14基全てが停止するまで、関西の消費電力の半分を供給した地域だ。全国的に原発への逆風が強まるなか、地元では原発維持を望む声が圧倒的に強い。脱原発を求める地元の市民団体も、将来の町づくりを視野に「現実路線」を模索し始めた。だが、原発維持を望む声を単純に「雇用や交付金などの“原発マネー”目当て」と見ると、原発を巡る議論は止まってしまう。「原発維持」を望む背景には、脱原発後の地域の姿が描けない現状があることを知ってほしい。