粉飾は歴代トップが了承し、10年以上も続いていた。市場の公正さをゆがめる言語道断の行為である。検察は全容を明らかにしてもらいたい。
世界的な光学機器メーカー「オリンパス」の菊川剛前会長ら旧経営陣3人が、有価証券報告書に虚偽の記載をした金融商品取引法違反の疑いで、東京地検特捜部に逮捕された。
含み損を抱えた金融資産を海外ファンドに移し替える「飛ばし」などにより、2007年と08年の3月期決算で会社の資産額をそれぞれ1100億円も水増しした疑いが持たれている。
不正が長い間、表面化しなかったのは、粉飾の仕組みが国境をまたぐ複雑なものだったからだ。
「飛ばし」の受け皿となるファンドは、租税回避地の英領ケイマン諸島などに作られた。不正工作に使われた資金はリヒテンシュタインの銀行が用立てた。
仕組みを考案し、海外の金融機関を紹介していたのは、金融のプロである国内大手証券会社の元社員らだ。今回、こうした外部協力者4人も、粉飾の共犯として逮捕されている。