Friday, February 3, 2012

厳冬、小売りに追い風 冬物衣料・ネットスーパー人気


2012年2月3日

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写真:福島県産の野菜だけを並べたコーナー。独自に放射性物質の検査結果も示している=福島市の「いちい鎌田店」拡大福島県産の野菜だけを並べたコーナー。独自に放射性物質の検査結果も示している=福島市の「いちい鎌田店」
 厳しい寒さが続くなか、冬物衣料などの売れ行きが好調だ。一方、外出はおっくうになりがち。そんな主婦たちが、ネットスーパーでの注文に向かっている。
 百貨店大手の1月の売上高(速報、既存店ベース)は、大丸松坂屋が前年比2.2%増、そごう・西武が2.1%増、三越伊勢丹(関東9店)が0.8%増。防寒グッズやふとんが好調だった。
 大丸松坂屋は「手袋やマフラーの販売は前年を7%ほど上回った。コートの売れ筋もウールが品薄なので、ダウンへ移っている。高級ブランドの春物も動き始めた」(広報担当)。
 高島屋は1.9%減だった。「半分くらいは雪のせい」と同社。関東で23日夜から24日朝にかけて雪が降り、客足が鈍ったという。
 そんな雪を味方につけているのが、インターネットで受注し、商品を届けるネットスーパーだ。
 セブン&アイ・ホールディングスは、全国137店でネット事業を展開。1日あたりの注文数は、寒さが厳しいここ数日、前年の同じ時期より3割ほど多い。イオングループも全国190店でネット事業を展開。やはり、ここ数日の注文数が、ふだんより1割以上多いといい、重たいものや、かさばるものを中心に売れている。
 野菜は寒さや雪の影響で高値が続く。そこで売れているのが、千切りキャベツやサラダ用野菜。キユーピーの「サラダクラブ」は、1月の売上高が前年同月より4割増えた。同社は「全国の農家と契約して仕入れているため、高値の今は値頃感があるのだろう」とみている。(古谷祐伸)
■福島、売り上げ好調も県産品売れず
 福島県の小売店が、東日本大震災からの復興需要を追い風に好調だ。だが、東京電力福島第一原発の事故の影響で、売れるのは県外産ばかり。福島産への風当たりは、地元でも強い。
 日本銀行福島支店によると、県内の大型小売店の売上高は、昨年5月から前年を上回る。11月は全国平均の2.5%減に対し、福島県は4.1%増だ。福島商工会議所が地元にある百貨店やスーパー7社に年末ギフト商戦の売上高を聞くと、全社が前年より増えたと答えた。
 スーパーや飲食店が入る福島駅ビル「ピボット」では、売上高が前年を1割ほど上回る。しかし、地元の特産品店は「こんなに売れないのは初めて」とこぼす。売れ筋は、隣の店の宮城県産かまぼこという。
 福島市のスーパー「いちい鎌田店」では、客は減っているのに、売上高が増えている。県内産より1~3割ほど高い県外産の野菜が売れるからだ。主婦(62)は「地元産は新鮮だけど、先に見るのは県外産」。
 郡山市の「うすい百貨店」は、高級ブランド品が好調で、1月の売上高は約1割増。だが、年末のギフト商戦で、県内産牛肉の売上高は8割以上減った。
 地元の小売店は、独自の放射能検査などで県内産のPRに懸命だ。いちいの酒井博章・総務部部長(56)は「県内産が売れないと、福島経済の好調も続かない」。(内藤尚志)


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