Saturday, May 28, 2011

21/05 よみうり寸評

5月21日付 

 1960年代、炭鉱の町に「常夏の楽園」をつくる計画が浮上した。閉山にあえぐ町を救うため、フラダンサーを夢見る娘たちが練習に励む◆舞台に欠かせない椰子やしが寒さで枯れそうになり母親が訴える。「こんな木枯らしぐれえで、あの子らの夢つぶしたくねえ」◆映画「フラガール」は、福島県いわき市のレジャー施設「常磐ハワイアンセンター」(現スパリゾートハワイアンズ)での実話をもとに製作された。開業後、延べ5000万人に感動を与え、町はにぎわいを取り戻した◆そんな成功物語が東日本大震災で一変した。被災して休館になり、再開は秋にずれ込みそうだ。だがフラガールたちは再び困難に立ち向かう覚悟だ◆被災者を勇気づけ、風評被害を吹き飛ばそうと、46年ぶりの全国巡業を始めた。21、22両日午後は東京・新宿高島屋で公演する。「つらい時だって、舞台の上では笑ってなきゃいけないの」。映画のセリフにある◆復興の夢をかなえるため、飛び切りの笑顔と元気を全国に届けてくれるはずだ。

(2011年5月21日14時10分 読売新聞)

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