Saturday, April 23, 2011

20/04 よみうり寸評

4月20日付 

 震災死者の92%は水死。警察庁発表の検視結果は「津波さえなければ」という多くの思いを裏付けた◆うち身元が判明した人の65%が60歳以上。ほとんどの犠牲者が津波で死亡、多くの高齢者が逃げ遅れたことをうかがわせる。歴史的に津波を何度も体験、意識も高い三陸沿岸だが残念だ◆新たな体験で新たな防災対策を打ち立てよう。早く高い所へ逃げる。個人レベルではこの素朴な反応を日ごろから心がけておきたい。〈津波てんでんこ〉という故知もその一つの表現だろう◆巨大地震に大津波の追い打ちが今回の震災の象徴だが、これに原発事故、さらに風評を加えて、被害は〈四重苦〉と言える。加えての二つは明らかに人災だ◆風評はとくに個人の判断、心構え、性向などで大きく左右される。いらざる買い占めの一方で、危険でもない野菜や魚まで誤った産地の先入観で買い控える◆福島県民が旅館やホテルの予約を断られた。県外へ避難した子が放射能を理由にいじめられた。〈一犬虚に吠(ほ)えれば万犬吠える〉。

(2011年4月20日13時52分 読売新聞)

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