政府は12日、東京電力福島第一原発の20キロ圏内(警戒区域内)の家畜の安楽死を指示したが、農業関係者は悲痛な声を上げ、しっかりとした対策を求めた。
警戒区域内で牛を5頭飼育していた福島県葛尾村落合、農業吉田照治さん(72)は12日、一時帰宅して牛と再会した。その直後に、報道陣から枝野官房長官が家畜の安楽死を発表したことを聞き、一瞬、驚いた様子を見せ、「処分するなら早くしてほしい。あのまま置いていてもつらいだけだ」と肩を震わせた。
県畜産振興協会の松川裕専務理事は「警戒区域内で畜産継続は難しいのが実情。殺処分はやむを得ないと思うが、農家の気持ちを考えるとつらい。国は責任を持って補償すべきだ。一刻も早く原発事故を収束させ、農家が再起できるようにしてほしい」と悲痛な様子。JA全農福島は「補償の枠組みをしっかり決め、所有者の同意を得た上で処分に入るのが大前提。衛生状態の悪化や家畜の野生化など心配される事態に、国や県はきちんと対応してほしい」とした。
(2011年5月14日13時01分 読売新聞)
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