Sunday, May 15, 2011

06/05 枝野官房長官の会見全文〈6日午前〉

2011年5月6日15時55分

 枝野幸男官房長官の6日午前の記者会見全文は次の通り。

【冒頭】

 「私から2点報告する。本日の閣議で人事案件として叙位、叙勲が決定した。引き続き、東日本大震災関係の政府組織について総理の指示に基づき整理を進めてきたが、原則として5月9日付でお手元の資料の通り整理をすることとしたので報告し説明する。政府においては東日本大震災への対応に万全を期するため、緊急災害対策本部と原子力災害対策本部をそれぞれ設置してきた。これはいずれも法律に基づき設置が義務づけられているものだ。この二つの本部を基本として、避難者の生活支援や原発事故に伴う補償など個別の重要課題にかかわる対策の実施組織を必要に応じて設けてきた。一方、これら実施組織においても本部という名称を用いたり、あるいは相互の関係が不明確である等との指摘を受けたことから、組織が複雑で指揮命令系統が適切に機能してないではないかといった危惧(きぐ)を頂くに至った。こうした危惧を払拭(ふっしょく)をすることと震災から2カ月近くが経過をし、復興に向けた取り組みも必要になるなど状況も変化をしていることから、こうした組織を改めて整理をした。今後は、従来の二つの本部、緊急災害対策本部と原子力災害対策本部、そしてこれに復興対応のための組織対策本部を設けて、この三つの対策本部を基本にそれぞれのもとに各組織が存在し、総理のもとで明確な指揮命令系統のもとで動いているということをわかりやすくお伝えをしたい」

 「具体的にいくつかポイントを言うと、被災者生活支援特別対策本部と原子力発電所事故による経済被害対策本部についてはメンバーを固定せず、活動がより機動的に行えるチーム制に改組する。また、事実上の組織である福島原子力発電所事故対策統合本部については政府・東京電力統合対策室に改組して政府における位置づけを明確にする。電力需給緊急対策本部については、近く予定している夏季電力需給対策策定後に電力需給に関する検討会合に改組する。お手元に資料があるかと思うが、それぞれのトップが総理である対策本部のもとの、今回名称変更・整理をするチーム等においては会議体が目的ではなくそれぞれの事務局の体制をそれぞれ付記しているが、各省横断的に各省からえりすぐりのメンバーに集まってもらってチームとして作業を進める。それぞれの責任者たる大臣あるいは副大臣等の位置づけを明確にするといったことで従来もやってきたが、改めてこうした図にすること、そして名称を整理することにおいて十分な理解を頂ければと思う」

 【組織改編】

 ――組織改編は「本部」と「チーム」と「室」に三つに分かれたようだが、それぞれの概念は。

 「明確に定義があるわけではないが、まず本部については法律に基づいてこうした緊急事態に対応して設置を義務づけられているものは、それぞれ対策本部ということになっている。従っていずれのチーム等もこれらの対策本部のもとでそれぞれの役割を果たすための組織として位置づけられている。本部という名称はそれぞれ法律に基づき設置されるところに改組した方がわかりやすいと。そこのもとでのそれぞれの組織が動いているんだと。ちなみに被災者生活支援については、従来特別本部という名称だったが、チームの名称に変わるから軽視をするとかいう意味では全くないことは念のため申し上げたい。緊急災害対策本部のもとで特に大きなまとまりを持ってしなければならないひとくくりの仕事が生活支援ということで、従来と同じ位置づけだ。チームと室の使い分けは、大きな原則としてはチームについては各省横断的にそれぞれの役所から相当な人員を出してもらい、大きなまとまりとして省庁横断的に作業を進めていくところについて主にチームという名称で整理している。室については省庁横断的な部分はあるが、大変大きな事務局チームではなくて、ただ少し独立性をもったというか、位置づけをはっきりとさせた役割を整理して位置づけるべきだというものについて室というのを使っているのがだいたいの大きな概略だ」

 ――総理がトップを務めるのは、新たにできる復興組織含めて三つの本部だけになるのか。

 「基本的にはそうしようと思っている」

 ――今回の本部改編は名称を変えただけではないか。

 「従来からいろんな指摘を頂いているが、何か会議が踊っているわけでもないし、指揮系統が混乱しているわけでもない。ただ、それぞれの名称とかそれぞれの関係が整理されていなかったということから、そうした誤解を招いたと思っている。きちんと整理をすることで従来から決して会議が踊っているわけでも、指揮系統が不明確だったわけでもないということをわかりやすく整理をしたものだ。逆に何か特別大きくものが変わったというわけではない」

 ――今回の改編で統廃合された組織はあるのか。

 「今回の整理で統廃合という感じはない。あえていえば被災者生活支援チームのもとにいくつかの検討会議、これもまさにその都度適宜必要なテーマについて必要な省庁の皆さんに集まって頂くということでまさに適宜やってきている。これは今後も必要なテーマがあれば関係する省庁の関係者に、被災者生活支援チームのもとで集まって頂いて検討して頂くことはあり得る。ここにあったいくつかの検討会議はいったん整理をしていることにはなる」

 【円高】

 ――海外市場で一時、円相場が1ドル79円台になった。この傾向を政府はどうみているか、再び介入に踏み切る可能性はあるか。

 「大変注目してみているところだが、今の段階で政府として何かコメントする必要はない」

 【食中毒問題】

 ――焼き肉店の生肉食中毒問題について、かなり被害が広がっているが、政府の対応は。

 「これは刑事事件としても捜査を始めていると聞いている。その上で国からは疫学の専門家、国立感染症研究所から派遣をしている。都道府県知事あてに生肉についての指導基準に適合したもののみを提供するよう指導監視を強化するよう通知している。さらに対応が必要であるかどうかは検討を始めている」

 ――これまでの生肉の規制は十分だったか。

 「結果的にこうした事件になっているわけで、その点を含めてしっかりと検討する必要がある。それを待たずに、まずは現在の指導と監督を強化するよう通知をしたところだ」

 ――厚生労働省が、今までの基準が業界の慣習などもあってあいまいだった、と。罰則基準を新たに設けるようなことを検討しているようだが、食品衛生法に基づく罰則基準の強化の検討状況は。

 「まさに今のような点も含めて早急な検討が必要だということで、その検討に入っている。現時点で結論の方向性を明確に申し上げる段階ではないかなと思うが、現にこうした事件で命をなくされる方もいらっしゃるので、しっかりした実効性をもった対策が必要だろうと思っている」

 ――焼き肉店ではユッケ販売を自主的にやめる店も出てきたり、一般の人もユッケを食べて大丈夫なのか不安が広がっているが、その動きについてどう思うか。

 「詳細は厚労省にお尋ね頂きたいが、現時点で従来の生肉についての指導基準に適合したもののみを提供するよう指導と監視を強化するということなので、これによって結果的に生肉の提供ということが法律、基準に基づけば、事実上ほとんどできないはずだと承知している。この辺の指導監督をどのように強化するのかの詳細は厚労省にお尋ね頂きたい」

 ――枝野さんも焼き肉は好きだと聞いているが、ユッケはこれから食べるか。

 「私も従来の指導基準というのを承知していなかったので、指導基準に適合したものがあれば私も嫌いではないが、そこの点についてしっかりと確認をしたいと思う」

 【ウィキリークス】

 ――ウィキリークスから出た情報として普天間についての報道があったが、事実関係は。

 「不正な方法によって外交上の秘密と称せられる文書が公開されたことは極めて遺憾だが、今回報道されている米国の外交文書とされる文書について、米国政府も同様であると聞いているが、日本政府としてもコメントも確認も一切しないこととしている」

 ――日本政府は海兵隊を8千人に削減するとのことだったが、今回の報道では実質3千人の削減だと。移転経費の日本側比率も増えるとの指摘もあり、事実なら費用対効果や計画の意義も変わってくる。国民が疑いを持っているなら、政府として事実確認をする責任があるのでは。

 「当該文書についてのコメントと確認はしないということで日本もアメリカも政府としての考え方は一致している。ただ、個別の我が国の外交政策等について、この文書とは別にきちっと説明しなければならないことは説明しなければいけないと思っているが、この文書についてはコメントしない」

 ――国民の知る権利もあるし、国益にかかわることなら、事実関係は確認するべきなのでは。

 「当該ウィキリークスから出ている文書全体についてコメントも確認もしないと申し上げている。一般的に外交についても国民の皆さんに当然説明すべきところは説明するべきであると思っているが、当該文書の内容について確認をすることについては致しませんということで統一している」

 ――その報道に国民が疑義をもっているなら、ウィキリークスが情報源かどうかは別として、確認する必要があるのでは。

 「ウィキリークスについて聞かれたら同じ答えだ。ウィキリークスについてでなく、聞いて頂ければ説明すべきことは説明するが、ウィキリークスについて聞かれても今のお答え以外はできない」

 ――米国では公電はいずれ公開されると思うが、米国の公文書として公開された時に日本政府として初めて内容を確認するのか。

 「その時に同じものが出てくるのかどうかを含めてコメントしない」

 ――内容はすでに報じられている。沖縄の基地問題への記述がたくさんあった。沖縄からみると日本政府や官僚に不信を募らせる内容。今後の基地問題への影響は。沖縄県知事はなぜ辺野古に決まったのか説明してほしいと求めているが、県民に対しての説明責任は。

 「菅内閣としてはこの辺野古の問題については日米合意を踏まえながら、沖縄の皆さんの理解を得るべくさらに努力をしていかなければいけないと思っている。特に基地による負担軽減に向けた歩みをしっかりと着実なものとして示していきながら、この辺野古への移設について、いま指摘頂いた、なぜ辺野古なのかについての説明もさらに丁寧に詳しくしていなかなければいけないと思っている。なかなか様々な経緯等から沖縄の皆さんの理解をただちに得るのは難しいということは十分承知しながら、しかしながら、だからこそ丁寧に理解を求める努力をさらに進めてまいりたい」

 【東京電力の賠償問題】

 ――電気料金の値上げを政府内で検討しているのか。

 「政府と言った時にどこまでが政府なのかという話はあるが、少なくとも閣僚レベルでそういった話、具体的な話はまだ全くしていない。また、今回の賠償についての費用負担については、まずは東京電力の自らの努力というものが最優先になされなければいけないと思っていて、それがしっかりとなされた上でなければ、それ以外の方法によることは、そもそも東京電力の電力を利用している皆さんにとっても納得を頂けるものではない」

 ――東電の自主的努力を見極めないと判断できないということか。

 「私はそれが当然だと思っている」

 ――まだ十分なものが出ていないと。

 「おそらく、いま表にいろいろと報道されている、確認されているものはもとより、報道されているレベルで考えても、当然、東電の電力の利用者の皆さんが納得できるようなものではない」

 【警戒区域の一時帰宅】

 ――警戒区域の一時帰宅のメドは。

 「いわゆる予行演習という形で自治体の職員の皆さんなどにお入り頂いた。実際に住民の皆さんと対応される自治体の皆さん、そうした皆さんを通じた住民の皆さんの様々な要望に具体的にできるだけおこたえしながら進めていくということで、この3日の予行演習も踏まえて、自治体と現地対策本部とで鋭意調整を進めてもらっている。できるだけ早くやりたいという思いは一貫しているし、予行演習という形でも一部入って頂いているという状況なので、後はまさにオペレーションがうまく組めるかどうかという段階に入っている」

 ――来週以降とか、メドは。

 「まさに一定のメドをこれまでも申し上げてきたわけだが、実際に協力を頂く自治体の皆さんとのある意味でのお互いの納得の上で進めていかないと、実際には実現できないという中にあるので、国としては一刻も早く要望に応じて始めたいと思う一方で、実際のオペレーションを行う、そこに協力を頂く市町村の皆さんとの合意なく見通しを、ここまでギリギリの段階で申し上げるのはかえって自治体の皆さんに申し訳ないと思うので、もうちょっとお待ちを頂ければと思う」

 ――オペレーションで一番の問題点は。

 「実務的にいろんなことが出てきていると聞いているが、これは当初より予想されていることでもあるが、実際に防護服等を着て中に入られていろんな作業というか、して頂くことはかなり大変な作業になるということと、住民の皆さんの要望としては、例えば高齢の方とかも含めて、できるだけ自宅に行きたいという要望があるということとの兼ね合い、それと安全性との兼ね合いが現場においては自治体の職員の皆さん含めて苦労されていると承知している」

 【組織見直しその2】

 ――緊急災害対策本部で、総理は共通認識が不十分だったと発言してが、具体的にはどういうことか。

 「具体的なことというよりも、これは先ほどの組織の整理の話とも関連するが、実はその緊急対策本部のもとに被災者生活支援の特別本部を置いたり、そのもとでも関係省庁集まった事実上のチームをつくったりとかというところで、かなりの部分が実務的に作業を進めてきた。それについては各省とも関連しているところは当然大臣にあげて、報告とかして頂いているかと思うが、直接自分の所管とかかかわっていない部分がどう進んでいるかについては、それこそ会議を踊らせてはいけないので、必ずしも全閣僚の本部の会合はそれほど多くの頻度でやっていないので、具体的に言えば仮設住宅の話について関係する国交大臣や総務大臣はともかくとして、関係しない大臣のところに必ずしも状況を共有しているわけではない。そういった趣旨のことであったと私は理解しているし、そういった意味で改めていろいろと大きな課題については所管でなくても関係閣僚が共有をしましょうという意味でおっしゃられたのだと思う。それで、実際に今日、特に仮設住宅はじめとして、いくつかの大きな懸案については全閣僚の前で懸案事項とか今後の考え方とかを整理したので、そうした共有は図れた」

 【民主党幹部のゴルフ】

 ――民主党の石井一副代表が昨日フィリピンでゴルフをしていた。

 「事実関係自体あまりよく承知していないし、党の立場との関係であれば、幹事長などにお尋ね頂ければと思う」

 ――民主党議員が連休中にゴルフをすることについて。

 「事実関係の詳細も承知していないし、党の立場でいろいろ仕事をされているので、内閣の官房長官という立場からは個人的な感想はあまり申し上げるべき立場ではないんじゃないかと思っている」

 【組織見直しその3】

 ――対策本部の整理の話だが、閣僚から意見あったのか。

 「2点だけあった。1点は、本部がチームに変わると軽視をしているとの誤解を招くことが心配だ、ということ。私も当初から危惧をしているところで、今まで通り、今まで以上に、特に生活支援の特別対策本部については100人超える事務局態勢で作業を進めてきている。この体制はさらに強化していくということだ。もう1点は、被災者生活支援チームと原子力被災者チームについて連携強化し、場合によっては一体化含めて考えたほうがいい、との指摘もあった。連携強化は進めていきたい。一体化までするのがベターなのかどうかは私の方が引き取って検討していくと答えた」

 【がれき処理】

 ――がれき処理をいつまでやるのか。一部報道では8月末までに撤去するとの工程表があるということだが。

 「私はその報道の中身については承知していない。出来るだけ早くと思っているが、政府だけで出来ることと政府だけで出来ないことがある。がれき撤去の費用については、昨日も宮城県知事からも要望があったので、持ち帰って何とか対応したいと答えているが、物理的にがれきをいつまでに処理出来るのかというのは、がれきの一時的な受け入れ場所の問題とか実際に仕事を発注する自治体の対応もある。そういうところにも最大限努力して頂く中で見通しを立てていかなければいけない」

 【東京電力の賠償その2】

 ――東電賠償だが、政府方針を決めるにあたり東電の決算発表、監査、与党との調整を考えると、この金土日に固める必要があるが。

 「与党との一定の相談はしなければいけないと思っている。決算絡みのことについては認識しているが、それに縛られるべきかどうか自体も検討の対象だ」

 ――監査の猶予期間を使うということもあるのか。

 「決算の時期とかそれにまつわる手順の時期については十分認識しているが、それが絶対的に縛られなければいけないかどうかというのはそれはまた一つの議論だろう。いろんな意見があり得るだろう」

 【小沢元代表】

 ――小沢元代表が政府の原発対応について「来週から声を大きくしていきたい」と述べたが。

 「いろんな立場の方がいろんな意見があるのだろう」

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