2011年5月11日13時21分
枝野幸男官房長官の11日午前の記者会見全文は次の通り。
【冒頭】
「今日で東日本震災から2カ月になる。今なお不自由な避難所生活等続けられている皆さんはじめ、被災者の皆さん、原発事故によって避難等影響を受けられている皆さんにお見舞いとおわびを改めて申し上げたい。同時にこの間、自衛隊、警察、消防、自治体の皆さんはもとより、多くのボランティアの皆さんが現地でボランティア活動に従事され、現地には赴かなくても様々な形で多くの国民の皆さんがこの震災に対する力を発揮、力を合わせてご支援頂いてくれていることに改めて感謝申し上げる。先ほど国会対策委員長会談に呼ばれて出席した。13日に興基本法案と内閣法改正案を閣議決定し、国会に提出したいと思うが、このうち内閣法改正については、この震災対応等のために当面、国務大臣、副大臣等の増員をするという内容になっている。現在国会に提出して審議をお願いしている政治主導確立のための内閣法等の改正案と趣旨は異なるものの、内容的に重なる部分があることから、こちらについては取り下げしたいということで、その取り下げの説明とお願いをしてきた。政府提出法案の取り下げは、今国会三つ目になるが、政治主導確立のための法整備については、この政権の一つの大きな柱であって、できればこれまでの間に成立をさせて頂きたいとの思いだったが、残念ながらそうした状況にならず、なおかつ今、東日本大震災に対する対応に全力をあげないとならない状況の中では、制度そのものの改正である、現在提出中の内閣法改正については、いったんは棚上げというか断念というかさせて頂き、この震災対応のために当分の間閣僚等を増員させて頂きたいということで、何とか国会にもご理解頂きたいと思っている。国民の皆さんにもぜひ、ご支援を頂きたいと思う」
【復興基本法案】
――復興基本法の付則に復興庁設置の検討を盛り込むのはなぜか。法案の担当大臣は誰か。
「まず内容については、最終的に金曜日に閣議決定をしようと思っている。指摘のような内容も含む方向で検討している。復興の実務を担う部局については当然のことながら、震災前にはない部局が幅広い分野について相当の陣容で実際の行政事務を行わなければならない。そこについては相当の規模と権限と一定の期間、半年とか1年ではない年単位の期間そうした業務が必要であるということを考えると、いわゆる庁の形をとった方が分かりやすいという側面もあろうかと。ただ、そういったことを一気にやろうとすると立ち上げに時間がかかるであろうということから検討条項として、まずはすぐに立ち上げられる構造から実際の実務を始めていきたいという内容にしたい。担当大臣ということの意味は二つあると思うが、復興そのものを担当する大臣をどうするのかということについては、同時にお願いする内閣法改正とも絡んできて、プラス閣僚の人事の話なので総理の判断だ。法案そのものを国会で審議頂くにあたっての担当大臣については、提出までに整理したい」
【内閣法改正】
――復興担当大臣については内閣法改正の成立が条件になるのか。
「少なくとも一つには、それがどうなるのかとの見極めが必要であると。できれば国会に速やかに理解を頂いて復興を専任的に扱う大臣が必要ではないだろうかということを国会の理解をお願いしていきたい。もう一つは実際に復興業務を担うのは法律と復興を担う部局の立ち上げの段階からなので、それを立ち上げるための法整備の担当とは切り離して議論はできる」
――内閣法の改正で増やす大臣の数とどの部分になるのか。
「大臣については3名を当分の間、この震災対応のためにお願いしたい。具体的にはまさに閣僚人事なので、最終的にはそれぞれ与えられた枠のなかで総理が人を当てはめながら置いていくが、そういったことを前提に最終的な整理の仕方は、人のあてはめのところで総理の人事権との絡みで確定する話だが、一般的にこの震災に対する対応と原発に対する対応、そしてもう一つは様々な閣僚が今の17という枠の中ではいろいろ兼務している閣僚が従来もたくさんある。その中で復旧、復興に対しての態勢を強化する上での整理をしたいのが、この法案を作り始めたところからの趣旨だ」
――民主党は与野党協議の中で、復興担当以外に環境大臣と沖縄北方大臣を切り出したいという話を投げていたと思うが。
「一つの分かりやすい例示としては、現にいま防災担当大臣が環境大臣を兼務している。私が官房長官と沖縄北方担当大臣を兼務している。こうした兼務の状況の中で震災対応に万全を期したいということで岡田幹事長が話したと思う。具体的にどなたの兼務をどう解いて、どういう風な形で復旧、復興や原発対応ということへの専任になるのか、ならないのかということは最終的には人事と絡んでくるが、趣旨としては私が申し上げたことと岡田幹事長が例示として言ったことと趣旨は共通している」
――福島県の校庭で削った土の処理で、県から政府に対して、支援策要望があがっている。今の検討状況はどうなっているか。
「何度も言っているが、年間20ミリシーベルトに達しないようにという範囲の中でできるだけ1ミリシーベルトに近づけるということを政府として進めていきたい。そのことで実際の事務は県や市の教育委員会等にお願いせざるを得ないということの中で、できるだけ放射線量を下げるための有力な手段として土壌の広い意味での改良があり、そのことについては国としてもできることについて最大限県や市と協力した上で進めていきたいということで様々な相談、調整をしているところだ。今の段階で具体的に何か決まったという報告は受けていない」
【校庭の土壌入れ替え】
――上と下の土を替えるとか、土をどう処理するかの支援を福島県から求められているが、具体策を近々提示する考えはあるのか。
「考えを提示というよりはご相談の中でいろいろやっていく話かなと思っている」
――福島県側から校庭の土の問題で国側が費用全額を負担してほしいとの要望が出ているが。
「まさにそういったことを含めて県等の要望と、実際にそういう作業等をどういう段取りで進めていって、どういうふうな効果が上がっていくのか等について、いろいろな相談をしている状況だ」
【内閣法改正】
――閣僚増員を当面お願いするとのことだが、震災対応にメドがつけば17人に戻すのか。
「少なくとも今回、国会に審議をお願いする法律案は震災対応についての3月11日以降生じた必要性が解消された時点で17人に戻すということの法案をお願いするということだ。それと、今回取り下げることになった法律案について、将来どうするかというのは別次元で考えることだ」
――取り下げた法案をあらためて出すタイミングは。
「少なくとも震災対応について一定の区切り等がつけられる段階までは少なくとも、今回取り下げをさせて頂くという異例のことをお願いするわけなので、まさに震災対応に全力を投入するということだ」
【東京電力の賠償】
――原発事故の損害賠償スキームだが、東電以外の電力会社に政府方針の決定前にスキームを説明して了解を得る作業はするのか。
「これについては、いろんな報道がなされているが、まだ政府としての考え方を決めてはいない。政府としての考え方が決まったら関係する皆さんにはいろいろお話をしなければいけない。政府としての考え方が決まってもスキーム自体はすぐにスタートするわけではない。考え方を決めた上で、必要があれば関係者の皆さんにご理解を求める作業は生じてくると思う」
――政治主導確立法案の取り下げの手続きは。
「基本的には新たに提出する法案の閣議決定とセットになるか、それとも、先に取り下げて提出の手続きをとるかは実務的な話なので、そこまで私自身把握していない。遅くとも同時でないといけないと思っている」
【給与返納】
――昨日、総理が給与の一部返納を言ったが、長官はどうする考えか。
「心情的にはいろいろな個人的に思いはあるが、総理及び海江田経済産業大臣が今回そういった判断をされた趣旨は、直接的にラインとして原発政策、原子力政策、あるいは今回の事故についての直接的なラインとしての権限をもっている立場として一定の姿勢を示したいという趣旨であると承知していて、私の個人的な心情は別として、そのラインのところでけじめをつけたいというお二人の意思は尊重したい」
――海江田大臣から東電に対する確認事項のなかに、「すべてのステークホルダーに協力を求める」との文言があるが、具体的に株主に対してどういう協力を求めるのか。
「これは気を付けないといけないと思っているが、政府として直接に協力をお願いをする立場ではないと思っているが、当然こうした事故を生じた東京電力の経営、形式で言えば取締役会として自主的にご判断をされた上で、関連するステークホルダーの皆さんのご協力を求めて頂くと。それについてはしっかりと政府に報告頂いて、国民の皆さんにもご報告するという建て付けを考えている」
【普天間問題】
――普天間問題で、日米合意の中に2プラス2で普天間の代替施設の配置、工法を決めるとの文言がある。一方沖縄は県外移設を求めると言っている。政府として沖縄の意向と、2プラス2で決めないといけないことと、どちらを優先させるか。
「両立させるべく最後まで努力をしたい」
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