Sunday, May 15, 2011

10/05 枝野官房長官の会見全文〈10日午前〉

2011年5月10日12時42分

 枝野幸男官房長官の10日午前の記者会見は次の通り。

 【冒頭】

 「閣議での大臣発言として、外務大臣および環境大臣から生物多様性に関する条約の遺伝資源の取得の機会及びその利用から生じる利益の公正かつ公平な配分に関する名古屋議定書の署名について。蓮舫大臣から平成23年春の交通安全運動及び交通事故死ゼロを目指す日について。中野国家公安委員会委員長から平成23年春の全国交通安全運動の実施について。私から彬子女王殿下の英国旅行について、申し上げた」

 「閣僚懇談会においては、中野大臣から拉致被害者の家族会等主催による国民大集会等について。私から通常国会後の各府省幹部人事について。玄葉大臣及び与謝野大臣から政策推進のための全体指針案について発言があった。私から閣僚懇談会で申し上げた各府省幹部人事の件について報告する。東日本大震災への対応に万全を期すため、通常国会後の各府省幹部人事の人事異動については、震災対応に支障が生じないよう必要最小限のものとすべく、各大臣の協力をお願いする旨発言した。能力、実績を前提とした適材適所の人事運用を行うことは当然であるが、今時の幹部人事については定年退職に伴うものや健康上の理由等やむを得ないものは除き、順送り的な人事は慎むと共に震災対応に支障がないか、あるいは復旧・復興といった震災対応の強化につながるかなどの観点から必要性をよく吟味するよう各大臣に検討をお願いした。この方針を踏まえて、各府省事務次官、局長その他の幹部職員の人事について内閣の承認を行うこととしている。本日は閣議前に経済情勢に関する検討会合、それを踏まえて閣僚懇談会について、政策推進のための全体指針について議論を行った。これは震災復興については復興構想会議で議論をいただいているが、財政・社会保障あるいは新成長戦略等の課題について、この震災という事態を踏まえた再始動に向けた方針を提示するものだ。本日の閣僚懇談会で各大臣から様々な意見が提示されたので、それを踏まえて与謝野大臣と玄葉大臣においてさらにその内容について精査していくことにしている。なお、閣僚懇談会に先立つ経済情勢に関する検討会合の詳細は、すでに与謝野大臣から報告されているものと思う」

 【幹部人事】

 ――幹部人事は基本的には次官、局長クラスは、よほど理由がないかぎり今回は交代しないということか。

 「言った通り、もちろん定年とか健康上の理由等やむを得ない理由はあると思うので、硬直的には言わないが、基本的には動かさない方向で検討を頂きたいということだ」

 ――幹部人事とは局長級以上なのか。課長級とかは。

 「内閣の承認の対象となる範囲ということだ」

 【浜岡原発】

 ――浜岡原発停止の評価とそれに伴う電力供給不足への対応は。

 「総理の要請を重く受け止めて頂き、安全を最優先するという姿勢で停止を迅速に意思決定頂いたのは深い敬意を表したいと思う。電力の安定供給については、政府としても最大限の支援をしたいと思う。それに関連して中部電力以外はもちろん、東京、東北は別だが、電力会社へのご協力のお願い等についても、政府からも申し上げないといけないかなと思っている」

 ――電力需給対策本部での議論になってくるのか。

 「当然ながら、この要請をするにあたっては全体としての特に東京、東北の需給の問題についての影響を検討、考慮した上でこの要請をしている。さらに今後の様々な状況に対応をしてしっかりと電力需給に問題ないように進めて参りたい」

 ――国民に対して節電で求めることは。

 「電力需給のチームで今夏の特に東京、東北管内を中心とする節電についての様々なこの間の調整を最終的な整理を今、しているところだ。それを発表する際に、改めて国民の皆さん、これはもう東京、東北管内に限らずご協力をお願いしたい。具体的にはどういった形をしていけば、節電になるのかということについてのできるだけそういう提示も含めて最終的な検討をしている」

 【復興基本法案】

 ――復興基本法案の閣議決定は今日中か。

 「まず与野党でのお話を幹事長あるいは亀井国民新党代表がして頂いていることについての状況というか、その報告をまだ受けていないので、その上での話だ」

 ――決定が今日中の可能性もあるのか。

 「ここは実際にお答えが返ってきた段階で考えて決めたい」

 【2プラス2】

 ――閣議の後、外務大臣、防衛大臣、総理と残って話をしていたが。

 「2プラス2の時期等をそろそろ考えていかなければならないということを含めて、状況の報告を外務大臣から頂いた」

 ――結論は出たのか。

 「いいえ、そういう段階ではない」

 【浜岡原発】

 ――日本経団連の米倉会長が記者会見で、浜岡原発の運転中止を要請したことについて、その過程がブラックボックスだと批判していたが。受け止めは。

 「米倉会長のご発言については直接うかがっていないので、コメントは避けたいと思っている。その上で、様々な今回の経産大臣、総理の決断を踏まえての経産大臣からの中部電力に対する要請については様々なご意見はあるんだろうと思う。しかし、最終的に万が一事故が起こった場合の国民の皆さんの安全を確保する責任を負っている内閣総理大臣、あるいは経産大臣という立場からは一定の批判があったとしても、国民の皆さんの安全を最優先して責任をもって判断するということは私は当然のことだろうと思っていて、やはりそこは万が一の事故があった時に、誰が責任をもって国民の生命、健康を守るのか。その責任感の問題だ」

 ――見えないところで議論されていたことに対しては、どう考えるか。

 「議論のあり方、仕方については様々な考え方あろうかと思うが、様々な意見を踏まえて、経産大臣として、総理大臣の意思を踏まえて中部電力に要請をするという結論と、その結論の背景になっている国民の生命、健康をしっかり守るという責任ということの中において、その議論の経過ということについてのご批判は、ちょっと私にはあまりピンとこない。その結論自体に異論がある方がいらっしゃることについては私は当然、様々な意見あるんだろうと思うが、まさに権限というか所管をしている経産大臣と、まさに国民の万が一の事故の場合の国民の生命、健康に責任をもっている総理大臣が様々な意見も踏まえた上で政治決断をしたということ」

 ――総理の要請には法的根拠がない。原発を停止できるような法的権限をもつような法改正の必要性については。

 「いつも申し上げているが、原子力政策全般のあり方については、今回の事故の検証を踏まえて、しっかりとゼロベースで議論すべきだと思っている。そうしたことの中で、いま指摘頂いたことも議論のテーマになりうるのかもしれないと思っている」

 【復興基本法案】

 ――復興基本法案について、玄葉政調会長を通じて野党の意見も聞いてきたと思うが、閣議決定をする上で、政調会長を通じて野党から出たアイデアはどの程度採り入れるつもりなのか。

 「それについても、まさに与野党間の様々な努力を党においてして頂いている結論を踏まえた中で最終決定をするということだ」

 【東電社長との会談】

 ――この後、東電の清水社長との会談がある。政府からどんな話をするのか。会談は東電側からの要請か。

 「私がうかがっている限りでは、東京電力からご要請があるということで、それを承ると聞いているので、ご要請を受けた上で何を申し上げるかということが初めて決まる」

 【災害緊急事態】

 ――災害緊急事態について、今回の震災では、野党側から国会を休会にするとの提案もあった。休会にして、緊急事態を布告するという選択肢はなかったのか。

 「法律を理解頂ければすぐ分かることだが、この法律の緊急事態の宣言というのは、国会で立法ができない場合であっても、それに代わる立法ができるようにすることに意味があるものなので、この緊急事態を宣言するために国会を閉じたりして、立法ができない、本来の立法ができなくするというのでは本末転倒ではないでしょうか」

 ――そのような判断を震災発生当初の段階で総理や長官がしたのか。

 「判断以前の問題で、本末転倒じゃないですかということだ。国会が動いていない時でも立法ができるようにという規定を国会が開いている時にわざわざ緊急事態を発するために国会で立法できないようにするというのは、まさにパフォーマンス。それをやったらパフォーマンス以外の何ものでもない」

 ――災害緊急事態を布告して、それに伴って政令が定められるが、その政令がなかったことで不足は生じなかったのか。

 「まったくない。必要があれば国会に立法をお願いすれば、必要なものならすぐに多分、ご承認で法律をつくれた状況だったと思っている」

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