Tuesday, May 10, 2011

09/05 編集手帳

5月9日付 

 インド大陸からこぼれ落ちたような涙形の島国スリランカは「インド洋の真珠」とも呼ばれる。そのスリランカ南西に1200の島が浮かぶ。「島々の花輪」に国名が由来するモルディブである◆両国は2004年のスマトラ島沖地震で津波の被害を受けた。その際に日本から支援されたお返しだろう。東日本大震災の被災地に、スリランカは特産の紅茶、モルディブはツナ缶60~70万個を贈ってくれた◆インド洋は好漁場として知られ、ツナ缶工場は日本の資金援助で建設された。救援のツナ缶は、モルディブ国民1人当たり2個以上に相当する。日本に一度で空輸できないほどという◆モルディブは東京電力福島第一原子力発電所の事故にも気をもんでいる。海抜の最高が約2・4メートルという平坦へいたんな地形のため、地球温暖化で海面が上昇したり、サンゴ礁が死滅したりすると国土が消滅しかねないからだ◆フクシマ後、温暖化ガスを排出しないクリーンエネルギーと期待された世界の原発推進にブレーキがかかりそうだ。ツナ缶には、事故の収束と、コバルトブルーの海の花輪を守りたい願いがぎっしり詰まっている。

(2011年5月9日01時10分 読売新聞)

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