Wednesday, May 18, 2011

18/05 枝野官房長官の会見全文〈18日午前〉

2011年5月18日12時40分

 枝野幸男官房長官の18日午前の会見全文は次の通り。

 【冒頭発言】

 「菅首相のG8サミット等の出席について。5月24日から29日まで、フランス公式訪問、OECD設立50周年記念式典、G8サミットおよび日EU定期首脳協議のため、外国訪問する予定だ。フランス公式訪問はサルコジ大統領からの招待を受けたもの。菅首相は25日にサルコジ大統領との間でG8サミット等の事前の意見交換を行う予定だ。またフィヨン首相とも会談予定だ。菅首相はOECD設立50周年記念行事に出席してスピーチを行い、我が国経済の強靱(きょうじん)性と震災後の復興再生をアピールする予定だ。26日および27日にフランスのドービルで開催されるG8サミットでは、主要先進国の首脳が一堂に会し、原子力発電の安全性向上や中東北アフリカ情勢などを含め、グローバルな課題について議論が行われる予定だ。また日EU定期首脳協議では、日EU関係の包括的な強化のために日EUEPA協定などの協力案件について意見交換する予定だ。さらに、主要国首脳との2国間会談についても調整中だ」

 「私の岩手県視察について。東日本大震災被災地の復旧状況を視察するため、私は5月22日(日)に日帰りで岩手県を訪問する予定だ。訪問先は久慈市、野田村、管井村、田野畑村、宮古市田老地区、岩手県庁を予定している。また三沢空港で青森県下の被災復旧状況について概況をうかがう予定だ」

 【平田参与発言】

 ――昨日、ソウルで行われた平田オリザ氏の講演で、平田氏が「福島原発の汚染水放出はアメリカ政府からの強い要請があった」と発言しているが事実か。

 「少なくとも私は承知をしていないし、放出について事前にアメリカに通告したとかも聞いてないので、平田参与の発言を直接うかがっていないので、そのことのコメントは控えたい。少なくとも私は承知していない」

 ――内閣参与の肩書のある人が、外国でこういうアナウンスをすることをどう思うか。

 「直接うかがってないので、どういう文脈で、どういう趣旨で、そういう認識に基づいてお話しになったのか、のちほど確認をしたいと思う」

 ――今日から宮城県で地域医療復興検討会議が県レベルでスタートする。地域医療は国レベルでどういう体制であたるのか。

 「宮城県をはじめ、東北沿岸部の多くの病院が特に津波被害によって病院そのものが使えなくなったところも少なからずある。そうでないところもベッドなどが流出するなど、大変壊滅的な被害を受けている。また、そういうところで従事している医師や看護師等も、大変疲弊している状況だ。さらに加えて、これらの地域はもともと医師不足等の医療崩壊の問題が顕著であった地域だ。しっかりとした地域医療の再生は、あらゆる復興再生に向けた大事な基盤なので、特に従来から医療崩壊、医師不足が問題であったと、あるいは高齢化等が進んでいることを踏まえ、単に元に戻すということにとどまらず、特にITやイノベーションをうまく活用した未来志向の医療再生が求められていると考えている。もちろん復興構想会議でも議論を頂けるのではないか。こちらから議論をお願いしているので、詳細についてこちらから何か指示するという話ではないが、ある意味では地域医療の再生はひとつのテーマとして完結する性格を持っているので、厚生労働省を中心に全体の復興構想は構想としても、この体制をどうやって再興していくのかはしっかりと進めてまいりたい。県でもいろいろ議論を頂けるので、そうした提言も踏まえて厚生労働省中心に進めてまいりたいと思う」

 ――復興構想会議メンバーに地域医療のメンバーがいないので、国の取り組みを疑問視する声も現地から上がっている。

 「今言ったように、もちろん全体の復興構想のなかにおける地域医療の復興も、一つのテーマになりうるだろうとは思うが、一方で医療の再興という意味では一つのまとまった完結した形で進められる。一方で従来から存在する医師不足の問題等、復興のために必要な施策というか対策は地域限定で何か対応できるという範囲よりも、医療システム全体についての対応がむしろ重要な要素となりうるテーマだと思っているので、そういう意味では復興構想会議においても一テーマであるが、むしろ今のような視点で国全体の過疎地域の医療、医師不足地域の医療のシステムも含めたなかで検討を進めていきたいと、あるいは進めているというふうに思う。決して軽視しているというよりも、その位置づけというか性格によって進めているということだ」

 【国会の会期延長論】

 ――昨日までに民主と自民の中堅議員らが超党派で議連立ち上げ。議連では補正の話や復興対策で国会延長すべきだとの声も。こういう議連をどう見るか、国会延長はどうするか。

 「まず議連については、私は党派を超えていろんな党の方がそれぞれのテーマに応じて、様々な形で意見交換したり連携するのは良いことだと思う。私も閣僚になるまではそうした活動を積極的にやってきている。延長等は最終的には国会が決めることだ。内閣としては延長をお願いするのかしないのかについては、まだそういうことを検討したり判断する段階ではない」

 ――国会延長論の理由として、東電賠償スキームの関連法案など震災対応のために必要な法案処理が閉会してはできなくなると。国会を閉じるのは国民の理解を得られると思うか。

 「だから国会会期の問題は、まだ検討する段階ではないと思う。原則としては、法律で定められた会期のなかで必要な法律を成立させて頂くよう政府はお願いしている立場なので、時期がきたらいろいろと検討しなければならないと思っているが、現段階ではそういう段階ではないと思う」

 【汚染土の最終処分】

 ――放射性物質で汚染されたがれきや土の最終処分地確保の見通しは。

 「そもそも原子力発電については、原子力発電によって生じる様々な放射能を帯びた廃棄物の最終処理について、なかなかもう相当長期にわたってそれをしっかりと確定できない状況が続いている。その延長線上のなかにあると思う。周辺住民のみなさんの生活と健康に影響を与えないような当面の対応というのはしっかりと進めていきたい」

 ――学校の校庭の土の入れ替えで、「自治体と相談する」と言っていたが、検討状況は。

 「実際に、詳細は文部科学省におたずね頂きたいが、自治体とのご相談等のなかで、土の表面の入れかえ等の様々なアプローチがスタートしていると承知している」

 【東京電力の賠償】

 ――東電が賠償のために尾瀬国立公園売却を検討しているが、政府としてどう考えるか。

 「まずは東電において主体的に補償費用の捻出(ねんしゅつ)に向けた自助努力を進めて頂くというのが基本的な考え方だが、あえて申し上げれば売却を検討すべきもののそれぞれの持っている意味やどの程度で売却できるのかというようなことの優先順位から考えればもっと先に検討して実施して頂くものがたくさんあるだろう」

 ――年金や退職金の話か。

 「そういったこともそうだし、資産についても他に優先順位の高い検討頂くことは少なからずあるんじゃないか」

 【普天間移設】

 ――北沢大臣が普天間の14年移設は厳しいとの見解を示しているが、長官はどうか。

 「まずは昨年5月の日米合意というものを基本として、大前提として守っていきたい。ただその中で14年という期限について困難が大きいということは、北沢大臣が担当大臣として認識をされている通りだろう。そうしたことの中で具体的にどういう段取りで進めていくのか、日米間でさらに協議を進めたい」

 【東電】

 ――東電の発電と送電の分離についての検討状況と、他の電力会社についてはどうか。

 「まずは東電について選択肢になりうるという認識を話した。ただこれについては簡単に売っていくらになるのか、みたいな話だけで結論を出せる話ではない。この短い期間で具体的な検討が前に進むという小さな問題ではない。一定の広範な検討が必要だろう」

 ――政府工程表で賠償の支払いが10月以降と示されたが、その開始までに賠償スキーム法案成立は必要か。

 「まずは第三者委員会による資産、経費の状況について、あえて申し上げればキャッシュフローの状況について検証させて頂くことの中で、いつの段階でスキームが動き出すことが必要かというのは、おのずから見えてくるだろう」

 ――スキームがはっきりしないと東電の債務負担能力が不明確なまま賠償始まるが

 「そういった状況について東電が自主的におっしゃっている話だけでなくて、第三者的視点で売却可能な資産を含めてチェックさせて頂くということが大前提になるということだ」

 ――秋までに間に合うのか。

 「これは一定の時間はかかる。しかし半年も1年もかけてやっていく性格のものではない」

 【憲法審査会規定】

 ――参院本会議で憲法審査会規定が可決の見通しだが。

 「国会における審査会の話だし、私はかつて民主党の憲法調査会長時代から一貫して内閣が憲法のことについて関与、コメントするべきではない。そのことは憲法に関する建設的な議論の足かせになる。足を引っ張ることになると申し上げてきている。その考え方は変わっていない」

 【日中韓首脳会談】

 ――日中韓サミットの関連で福島訪問というのを検討しているのか。

 「中国や韓国の意向、被災地の自治体の意向があるので、調整しているのは間違いない。まだ結論が出たかどうかの報告はきていない」

 【国際通貨基金(IMF)】

 ――IMFの後任人事はヨーロッパから選出するべきか。

 「まだそのことについて具体的な検討状況、検討すること自体、時期尚早ではないか」

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