東京電力は12日、福島第1原発1号機で原子炉圧力容器内の水位計を点検、調整した結果、水位は燃料棒(長さ4メートル)の上部より約5メートル低かったと発表した。東電や経済産業省原子力安全・保安院によると、燃料の大半が溶融して圧力容器の底にたまっているとみられる。東電は、圧力容器の温度は120度以下に保たれており、炉心は引き続き冷却されているとみているが、枝野幸男官房長官は「原子炉の状態について再度調査する必要がある」と述べた。
東電によると、調整前は燃料棒上部から1.65メートル前後低い水位を示していた。格納容器内は高温・高湿度が原因で数値にずれが生じているため、10日から原子炉建屋に作業員が入り計器の調整作業を行っていた。
1号機では、原子炉格納容器を水で満たして原子炉を冷やす水棺作業のため、6日から原子炉への注水量を1時間当たり約6トンから約8トンに増やしている。原子炉内への注水にもかかわらず水位が上がっていない点について、二ノ方寿・東京工業大教授(原子炉工学)は「注入した水が蒸発し、圧力容器の配管の接続部などから格納容器内に漏れ出しているためではないか」と推測する。一方、原子炉圧力容器表面の温度は、給水ノズル付近で114.7度、下部で92.7度だった。
保安院の西山英彦審議官は「圧力容器内の水位が正しいとすれば、燃料の一定部分は溶けて下にたまっている可能性が高い。残った部分は水蒸気で冷やされているのではないか」との見解を示した。【根本毅、日野行介】
毎日新聞 2011年5月12日 11時44分(最終更新 5月12日 13時25分)
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