東京電力は17日、福島第一原子力発電所の事故収束に向け、最近の状況を踏まえて見直した新しい工程表を発表した。
1か月前に発表した工程表で、遅くとも来年1月までとした安定化の目標時期に変更はないが、1号機のメルトダウン(炉心溶融)を受け、「冠水(水棺)」を事実上断念、「循環注水冷却」に切り替える。余震・津波など2分野の対策も新たに盛り込まれた。政府の原子力災害対策本部(本部長・菅首相)も同日、被災者支援の工程表を初めて公表し、海江田経済産業相は「今回の原子力事故による被災者は、国策による被害者」と位置づけ、支援に全力を尽くす考えを強調した。
東電の新工程表は、これまで「冷却」「放射性物質抑制」「除染・モニタリング」の3分野に分けていた対策に、「余震対策」と作業員の「環境改善」の2分野を加えた。原子炉が完全に冷える「冷温停止」を達成する時期は、前回の工程表と同じく、遅くとも来年1月中旬とした。
原子炉の冷却については、1号機のメルトダウンが確認され、想定を上回る大量の漏水が見つかったことから、格納容器を水で満たして原子炉を冷やす冠水作業を1~3号機すべてで当面見送る。代わりに、汚染水を浄化して原子炉に戻す循環注水冷却の準備を優先して進めることにした。
(2011年5月18日00時51分 読売新聞)
No comments:
Post a Comment