イランなど核物質の軍事転用を進めている疑いのある国を査察するほか、原子力発電所で事故が起きた場合、現地で放射性物質の計測などを実施する。今回の事故では3月18日に調査団が来日し、福島や首都圏で活動している。
また、92年には経済協力開発機構(OECD)と共同で、原発事故の影響を判断する国際原子力事象評価尺度(INES)を策定。〈1〉放射性物質などの放出〈2〉炉心の損傷など〈3〉防護設備の劣化――の状況から、事故のレベルを8段階に評価する。
炉心が爆発して建屋が吹き飛んだ旧ソ連のチェルノブイリ事故(86年)は、最も深刻な事故であることを示すレベル7。茨城県東海村の核燃料加工工場JCOで作業員2人が死亡した臨界事故(99年)は、国内では最高のレベル4だった。
今回の事故については、原子力安全・保安院が18日、暫定評価をレベル5と発表した。これは、炉心が空だき状態になって燃料の一部が溶融した米国のスリーマイル島原発事故(79年)と同じ評価だ。ただ、これはまだ放射性物質の放出状況が十分調査できていない段階で、炉心の損傷具合のみで評価したもの。放射性物質の放出量測定は数か月かかるが、正式評価ではレベルが上がる可能性がある。
(2011年4月1日 読売新聞)
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