通常、原子炉は水で満たされており、燃料棒を集めた炉心が一定温度以上に過熱するのを防いでいる。だが、原子炉内の水位が何らかの理由で下がると、むき出しになった燃料集合体が熱を放出し続け、冷却機能は落ちていく。2800度くらいになると、核燃料そのものが溶けだしてしまう。
最悪の場合、溶けた燃料棒が、放射性物質が漏れないようにするための壁である圧力容器なども溶かし、放射性物質が大量に放出されることになる。
原子力安全・保安院の見解では、福島第一原発では燃料棒の損傷が起きている可能性はあるが、炉心溶融には至っていない。地震で水を補充する機能が失われる一方で、炉内の水は燃料が熱を放出することでどんどん蒸発したため、水位が下がったとみられ、炉心溶融を避ける方法は、冷却しかない。東電では、こうした場合に備え、緊急炉心冷却装置(ECCS)を設けていたが、非常用発電機まで津波などの被害を受けたため、この装置も使えなくなった。このため、外部からECCSなどを動かす電力を引く準備を進めるとともに、冷却のための海水注入を続けている。
(2011年3月22日 読売新聞)
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