Sunday, April 10, 2011

10/04 大局的視点で「国のあり方」再考必要…構想会議

 菅首相は東日本大震災から1か月にあたる11日、「復興構想会議」(議長・五百旗頭いおきべ真防衛大学校長)を発足させ、復興に向けた作業に着手する。

 政府の復興構想会議で復興の青写真を描くことになるのは、五百旗頭氏や御厨貴東大教授ら有識者と地元の岩手、宮城、福島3県の知事らだ。これは95年の阪神大震災時の手法にならったものだ。

 ただ、政府内からは「阪神のスタイルを踏襲するだけでは不十分だ」(総務省幹部)との意見が出ている。神戸を中心とした地域の局地的被害が大きかった阪神大震災と異なり、東日本大震災は東北から関東までの広範な地域で、数多くの自治体が地震と津波によって壊滅し、原発事故による放射能漏れ事故も招いた。

 さらに、日本経済への打撃も大きい。被害の甚大な東北地方は、農林水産業で日本の「食」の産地の役割を担ってきただけでなく、多くの部品メーカーが日本の基幹産業である自動車や電機産業界を支えてきた。部品の調達ができなくなったトヨタは、海外での生産停止も余儀なくされた。首都圏の電力供給源である福島第一原発の機能が停止したことで、全国各地での企業活動の停滞をも引き起こしている。

 復興を考えるにあたっては、大局的な視点で「国のあり方」を再構築すべきだとの意見は強い。日本のエネルギー政策や産業立地計画の再検討、企業の供給体制の見直し、国民の生活様式など、日本の国家としてのたたずまいを再考する必要があるというわけだ。

 林芳正、藤末健三両参院議員ら民主、自民両党の議員有志と小宮山宏・前東大学長ら有識者のグループは6日、産業構造や労働スタイルの見直しなど原発事故を教訓にしたエネルギー戦略の見直しも含めた復興プランを練り上げるよう求める提言を首相に提出した。また、石原信雄・元官房副長官と民主の樽床伸二衆院議員ら超党派の有志議員も独自の復興ビジョン策定に乗り出した。

(2011年4月10日12時24分 読売新聞)

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