2011/7/2付
地上デジタル放送への完全移行まであと3週間に迫った。岩手、宮城、福島の東北3県以外は、7月24日から従来のアナログテレビは見られなくなる。地デジを受信できるテレビやチューナーを持たない家庭と事務所は対応を急いでほしい。
総務省によると、移行1カ月前の6月24日時点で地デジに未対応の世帯は約33万5千ある。地デジの番組を見るには専用のアンテナか共同受信設備が要る。工事が間に合わなくならないよう、未対応世帯は申し込みを急ぐ必要があろう。
地デジを受信するにはテレビの買い替えが必要だが、従来のアナログテレビを使う手立てもある。地デジに対応した録画機やチューナーをつなぐか、ケーブル放送を通じて地デジ番組を見る方法だ。ハイビジョン画質では映らないが、子供部屋などのテレビの応急措置にはなる。
東日本大震災で大きな被害を受けた東北3県では、移行を最長で1年延期することになったが、年内には移行すべきだろう。津波の被害を受けた地域ではテレビは失われており、仮設住宅に移った被災者には新しいテレビが配布されることになっている。放送局にとっても古いアナログの放送設備を維持する方がかえって負担になるからだ。
地上デジタル放送の大きな目的は電波の有効利用にある。来年春には携帯端末向けに映像を配信するマルチメディア放送が始まる予定で、東北3県でもそれまでには移行を終える必要がある。放送の空き周波数は携帯電話や車の安全走行システムなどにも使われるため、その意味でも移行は待ったなしといえよう。
日本は英国や米国より5年遅れて地上放送のデジタル化を始めた。欧州はドイツなど8カ国がすでに移行を終えている。ブラジルなど南米10カ国とフィリピンは日本の放送方式を採用したが、海外に日本のテレビや放送番組を売り込むためにもデジタル化を急ぐべきだ。
米国も日本と同様、低所得世帯にはチューナーの無償配布制度を導入した。それでもアナログ放送を終了した2009年6月の段階で250万世帯以上が未対応だった。日本では地デジ難民が生まれぬよう政府も放送業界も全力を挙げてほしい。
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