Saturday, July 2, 2011

02/07 憂楽帳:新旧の迫力

 「その瞬間、あなたは映画の中にいる」。こんなキャッチフレーズの新感覚の映画館「IMAX(アイマックス)デジタルシアター」が1日、奈良県大和郡山市にオープンした。「革新的なテクノロジーによって実現したデジタル映写システム」だそうで、臨場感が最大の売り。開館直前に体験試写に参加した。

 宇宙から深海までの映像が3D方式で大画面に映し出され、大音響のサウンドも加わり、一瞬にして非日常の世界に導かれた。ただ、強烈すぎて終わると、落差からたちまち現実に引き戻された。
 これとは逆の経験を、奈良市の薬師寺の東塔で味わった。7月から約110年ぶりに解体修理されると聞き、その前に初めて見に行った。高さ約34メートルで、六重にみえるが三重塔。この地に730年に建てられた。大きいし、きれいな形をしているが、息をのむほどではない。
 「ふ~ん」と思いながら眺めていたら気がつくと10分以上も凝視していた。なぜか去りがたい思いを抱かせる東塔。「凍れる音楽」と評される一端を感じた。
 最新技術と伝統建築。新旧の迫力は、後味が大きく違った。【玉木達也】
毎日新聞 2011年7月2日 大阪夕刊

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