2011年5月16日14時13分
枝野幸男官房長官の16日午前の記者会見全文は次の通り。
【冒頭】
本日16日、原子力災害対策特別措置法第20条3項の規定に基づき、福島県の一部地域、原子力発電所から半径20キロ圏内を除く田村市と新地町で採取される露地栽培の原木シイタケについて出荷制限を解除することとし、福島県知事に指示した。
【世論調査】
――各社世論調査によると浜岡原発停止要請について多くの国民が支持する一方、内閣支持率が低迷していることについてどう思うか。
「いつも申し上げている通り、個別の世論調査の数字については直接のコメントは控えたい。浜岡原子力発電所の停止については様々な意見や立場のあるところだが、引き続き政府としての考え方をより多くの皆さんにご理解頂けるよう努力をして参りたい」
――原発政策の見直しに国民の期待が大きいことについてどう考えるか。
「今回の東京電力の原発事故という事態を踏まえて多くの国民の皆さんが原発の安全性について強い関心をお持ちであるというのは当然のことだろう。そうした国民の皆さんの声をしっかりと受け止めながら、国民の安全安心をしっかり守るという観点から事故の検証も踏まえつつ、しっかりと検討して参りたい」
【北方領土】
――ロシア副首相らが択捉など北方領土を訪問したが、政府の受け止めは。
「今回の件に限らず、ロシアの要人が訪問を続けていることは日本の原則的立場と相いれるものではない。わが国の国民感情を傷つけるものであり、大変遺憾だ。本日朝、松本外相がベールイ駐日ロシア大使を招致の上、ただいまのような趣旨の申し入れをした」
――毎回同じように遺憾だと言っているが、政府の取るべき対策は。
「ロシア政府やその関係者が何度繰り返しても、日本政府の原則的立場が変わるものではなく、むしろわが国の国民の感情をより大きく傷つけるものであって、ロシアにとって何の得にもならないことだ。繰り返しそのことをロシアに対して伝えていく」
――今回の訪問は閣僚が5人、日本のビザなし訪問団が訪問中に入っている。実効支配を誇示する意図があるとの見方についての受け止めは。
「ロシア側がどういう意図をお持ちであったかは分からないが、いずれにしてもこうしたことが繰り返されることはわが国の国民感情を傷つけるものであって、同時にいくらくり返してもわが国の原則的立場はいささかも変わるものではない。むしろロシアにとって何の益もないことである。このことを繰り返しロシアに伝えて参りたい」
【IMF専務理事逮捕】
――IMF専務理事がNYで強姦未遂容疑などで逮捕されたが受け止めを。
「指摘の報道については承知をしているが、個別の刑事案件についての直接のコメントは差し控えるべきだろうと思っている。なお、IMFの機能については筆頭副専務理事のもとでしっかりと機能していると理解している」
【東電の合理化】
――東京電力の清水社長が国会で、現時点では退職金や年金については削減を検討していないとの考えを示したが、どう思うか。
「あまり東京電力の置かれている社会的状況を理解されていないなあと改めて感じた」
――何らかの削減が必要だと。
「具体的にはこれから第三者委員会を設けて、しっかりと様々な内部の状況について、政府としても把握をしていきたい。それは国民的にもその情報は共有をして参りたい。それを踏まえて具体的に進めて参りたい」
――東京電力の組織のあり方として、昨日玄葉大臣が発電と送電の分離にも言及したが、事業形態の見直しも今後あり得るのか。
「選択肢としては十分あり得る」
【米空母艦載機の陸上離着陸訓練】
――艦載機の着陸訓練を鹿児島県の馬毛島の移転することを検討するとの報道があるが、検討状況は。
「報道は承知しているが、空母艦載機の着陸訓練地については米軍の運用上の必要性などを踏まえて検討中であって、現時点で具体的な候補地を特定しているものではない」
【原発の炉心溶融】
――東京電力が15日に福島原発のメルトダウンの分析結果を公表。政府はメルトダウン発生を認めない方針か。
「いずれにしても原発の状況については、停電や計器が壊れている等の状況によって取得できるデータに大きな制約がある。従って残念ながら原子炉内で発生した事象を正確に把握することは現時点も含めて困難な状況にある。この間、むしろ周辺環境の状況、つまり周辺における放射線量などに基づいて、そして原子炉の状況がさらに悪化する可能性を踏まえて避難のお願い等をしてきた。また、より悪化させないためのあらゆる可能性を想定した対応をしてきた。今回、こうした状況の中、事故発生当時に比べより具体性のあるデータが入手されるようになってきたことを踏まえて、東京電力において一つの解析の結果がでたので直ちに公表されたものと承知している。現在、原子力安全・保安院でその解析等について報告を受けて、政府としてもその解析を行っている。残念ながら原子炉の中の燃料が溶けてしまっていたという状況については、これは私自身は専門家ではないが、専門家の意見含めて残念ながらそういう状況であるという風に認識せざるを得ない。そうしたことの中で周辺住民の皆さんにはご無理をお願いし、避難をして頂いているので、さらなる原子炉の状況の悪化を阻止し、そして事態を収束させ冷温停止に持っていくという工程表について、そうした分析も踏まえた中でさらに改善をすべきところがあるかどうか検討している」
――12日時点で保安院の中村審議官が炉心溶融の可能性を言っていて、結果的に事実を言っていたのに翌日、会見の担当を外れた。政府は事実隠蔽(いんぺい)する意図があったのではの見方もあるが。
「保安院の広報担当をされていた方でしょうかね。そこまで別に官邸で直接把握をしていない。どういう理由でどういう方が会見を担当しているのかということについては、直接承知していない。それから、メルトダウンの可能性のあるということについては、メルトダウンという言葉がいろんな意味でとらえられる、特に印象の面でとらえられる。つまり、いわゆるチャイナシンドロームのような状況から、あるいは言葉の普通の直訳的な意味からすれば燃料のごく一部が溶けている場合といろんなパターンがあるということの中で、燃料の溶けている可能性ということについては、当初から政府としても可能性を踏まえた中でそれをいかに小さく抑えるか、阻止するか、起こっているとすればそれをさらに被害に結びつかないようにするかということで対応してきた」
【計画的避難】
――飯舘村などで計画的避難が始まったがずいぶん遅れた受け止めと、飯舘村は場所によっては積算放射線量が16ミリシーベルトに達していることについて、どう考えるか。
「実際に避難を始められた皆さんには、本当に大変つらい思いをさせている。まさにこれからの避難生活で大変厳しい状況を余儀なくされるということで、大変申し訳なく思っている。飯舘村や川俣町はじめ、地元の皆さんには住民の皆さんの思いというものを踏まえながら避難をお願いするという大変厳しい、この間プロセスを対応してきて頂いて、このご尽力には御礼と感謝を申し上げる。積算放射線量がもちろん日々高まっていくが、積算放射線量は一つの仮定の下においているものであり、計画的避難区域等に指定されている、あるいは住民の皆さんにもかなり広く放射線量についての情報が周知をされている状況の中では、8時間屋外にいる等の前提になっている仮定とは、かなり違った生活パターンをされていると思うので、そうした意味では、当面の目標数字である年20ミリシーベルトに達することのないように、順次避難をして頂けると思っている」
【北方領土】
――ロシア閣僚の訪問に関連し、ロシア軍幹部が巡航ミサイル装備などの更新を明らかにしたが、政府として遺憾の意を伝えること以外の取り組みは。
「まずロシア側がどういう意図があって様々な行動を取っているのかは別としても、我が国の原則的な立場は変わることはない。我が国における国民感情を悪化させるだけに過ぎない行動をロシア政府として取っていることは、外交的にも意味がないことだ。これに対してどうやって対応するのかということについては、相手のある外交案件なので、あらかじめこういう手を打ちますということを言ってしまったら、外交的駆け引きにはならない。現時点で何をしたかということだけ申し上げる」
【計画的避難区域】
――計画的避難区域の関連で、民主党側から放射線量の低い特養や工場の操業について例外的に認めてくれるようにという要請があったと思うが、政府の対応は。
「安全ということについては、最優先をしなければならない。それから、様々な状況にある皆さんのそれぞれにご無理をお願いしている。ある意味での公平性というのも確保、担保しなければならないと思っているが、その二つの前提の上で地元の皆さんの声あるいは客観的な様々な状況を踏まえて、柔軟な対応をする必要があるということでそうしたことも含めて地元の身さんと協議、調整をしながら進めている」
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