Friday, July 1, 2011

01/07 春秋 - 結局のところ、運命と未来は他人任せにできないということだった

2011/7/1付

「驚異の年」という。ラテン語の「アヌス・ミラービリス」がもとになっていて、英国の6年を指すのが普通だ。ロンドンで大火があり、全土でペストがはやり、オランダとの海戦に勝利した。そんなことが重なったからである。
▼いつの日かことしの前半に起きたことを調べようという学生がいたら、いかに多くのできごとが凝縮していたかに感心するだろう――。英国人の歴史家ポール・ケネディ氏が近著「世界の運命」に書いている。日本の大震災はもちろんだが、大事を数え上げていけば、「驚異の半年」というしかない6カ月だった。
▼そして、いずれの大事も格闘が続いている。北アフリカのチュニジア、エジプトで長期政権をひっくり返した民主化の波動がリビアやシリア、イエメンといった国では壁に突き当たっている。ヨーロッパのユーロ圏を脅かすギリシャの財政はなお崖っぷちにある。この国の類いまれな長期戦は緒についたばかりだ。
▼日本人の背を押す言葉になろう、ケネディ氏は「人類は、偉大なことを行う才能を持っている」と記した。この半年間に多くの人が知ったのは、結局のところ、運命と未来は他人任せにできないということだった。ならばやるべきことをやり言うべきは言う。そんな思いで「驚異の年」の後半にきょう、歩み出す。

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