2011年4月12日7時0分
11日午後5時過ぎに福島県内で震度6弱を記録した地震。茨城県や福島県で津波警報や津波注意報が発令され、深刻な事態が続く福島第一原発では作業員が一時的な退避を迫られた。
「原子炉への注水が止まっています」
地震発生から30分後、東京電力本店にある記者会見室。広報担当者が緊張した面持ちで告げた。
第一原発では東北電力からの送電が止まり1~3号機の原子炉に注水するポンプが止まった。注水が長時間できなければ、核燃料が再び損傷し放射性物質が外に出る恐れもある。
原子力設備管理部の黒田光課長は「変電所までは電気が来ている。外部電源の復旧と消防ポンプを動かすのと、どちらが早いか検討している」。だが、いずれも外での作業が必要。注意報発令で作業員が退避する間は、海の近くでの作業はできなくなった。
午後5時56分に外部電源が復旧。作業員が建屋の外のポンプまで行き、スイッチを入れて午後6時4分までにポンプを再起動した。地震発生から50分近くたっていた。
直後に原子力・立地本部の松本純一本部長代理が会見で「注水ポンプが再起動しました」と報告した。
だが、一時的とはいえ、最も重要な原子炉の冷却ができなくなった。松本本部長代理は「いまの崩壊熱の量なら、数日間は(炉内に残った水で)冷却ができる。50分程度であれば影響はない」と説明するが、電源車の準備が始まったのは停電後で、非常用電源に自動的に切り替わるようにもなっていなかった。
津波注意報が解除されず、外部電源が復旧しなければ、冷却できない時間が長引いた可能性がある。松本本部長代理は「注水を切らすということ自体が非常に危険を伴うのは事実。より短時間に復旧できるよう、電源車や消防ポンプは高台に配置し直すようにする」と話した。
福島市にある福島県災害対策本部でも東電社員が被災状況の確認に追われた。
午後6時10分ごろから始まった経済産業省原子力安全・保安院の記者会見では西山英彦審議官から冒頭、「たったいま注水が外部電源で再開したという連絡がありました」との説明があった。だが、その後のやりとりで「余震で津波が来たら電源はどうなるのか」と聞かれると、「電源車や予備のポンプを用意するなど対応はあるが、建物まではない。やりようがない」と答えるにとどまった。
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