消費にも震災の影響が色濃く出ており、自粛ムードや消費者心理の冷え込みで、高額の商品やレジャーなど不要不急の消費は大きく落ち込んでいる。
百貨店業界では、三越、伊勢丹と高島屋の首都圏の店舗の売上高が、震災発生から3月末までの前年同期比で3~4割減った。全国の百貨店売上高は、昨年10月に2年8か月ぶりに前年実績を上回るなど回復傾向にあったが、主力の衣料品や高級品の売れ行きに急ブレーキがかかった。
3月の国内新車販売台数(軽自動車を除く)も、前年同月比で37%減の約28万台と、3月として42年ぶりの低水準となった。軽自動車も31・6%減の約16万台と、3月では過去2番目の減少率だ。3月は年度末で販売が伸びる時期だけに、関係者の落胆は大きい。
旅行業界も大打撃を受けており、旅行最大手のJTBでは、3月の旅行予約が激減し、特に東北が7割減、関東も6割減となった。近畿日本ツーリストも旅行予約者が3割減り、「自粛ムードがいつまで続くか見通しが立たない」と嘆く。
稼ぎ時のゴールデンウイークが近づく中、帝国ホテルでは「例年なら満室になる日もあるが、現時点では予約がほとんど入っていない」という。原発事故の影響で外国人の「日本離れ」も目立ち、宿泊客の5割弱が外国人というホテルニューオータニ(東京・千代田区)では、4月に入っても外国人からの予約がない状況だ。
一方、備蓄用の商品や生活必需品は飛ぶように売れている。
関東など1都7県の生協で作るコープネット事業連合によると、3月11日~31日に、即席めんなど常温で保存できる食品の売上高は前年同期比で40%増えた。米も10%伸びた。売り切れる前に買おうと、開店直後に来店客が押し寄せる状況が続いているという。
関東地方などで水道水から放射性物質が検出された後は、ミネラルウオーターの需要も一気に増えた。果実飲料なども伸びている。計画停電などで生産量が十分に確保できなかったことから「本来の需要はもっと多かったはずだ」(飲料大手)との声も出ている。
(2011年4月11日 読売新聞)
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