Wednesday, June 8, 2011

31/05 よみうり寸評

 これでよくもまあ死者ゼロですんだものだ。脱線炎上し焼けただれたような車両がトンネルから出てきた映像を見てそう思った◆無残にも窓ガラスは焼け落ち、車体は大きくゆがんでいる。北海道のJR石勝線・第1ニニウトンネルで起きた特急「スーパーおおぞら」の脱線事故のこと◆乗客約240人、乗員4人のうち39人が煙を吸うなどで病院に搬送されたが、いずれも軽症だった。線路上を歩いて比較的短時間で脱出できたのが不幸中の幸いだが、問題は大きく残った◆JR北海道は火災を認知するまで2時間を要し、避難の指示、誘導がなかった。暗闇の脱出は自力でドアを開け避難した乗客の機転によると聞けばぞっとする◆乗員は煙に気づいたが、火災を確認できず、避難指示、誘導に至らなかったという。これが???。JR北海道によると「根底に乗客を列車から簡単に降ろせないという教育がある」らしい◆危機管理が危うい。とんだ時に〈天は自ら助くる者を助く〉を乗客に求めたような事故の経過だった。

(2011年5月31日14時13分 読売新聞)

No comments:

Post a Comment