Wednesday, June 8, 2011

29/05 編集手帳


 映画『幸せの太鼓を響かせて~INCLUSION~』が東京と大阪で公開された。知的障害のあるプロの和太鼓奏者6人が、太鼓表現師の時勝矢一路じしょうやいちろさんから贈られた新曲に挑む姿を、日常生活と重ねたドキュメンタリーだ◆製作総指揮の元首相夫人、細川佳代子さんは「障害者を知らないことが偏見を生む。どうしようかと考えていたら彼らに出会った」という。小栗謙一監督とは知的障害者の記録映画『Believe』以来のコンビだ◆長崎県・雲仙の地域社会に溶け込んで、普通に暮らす彼らと家族の笑顔、絆がいい。時勝矢さん流の“特訓”も見ものだ。ラストを飾る演奏シーン。6人はひたむきに太鼓を打ち鳴らし、静かにバチを納める◆先週、実演を見せてもらった。終わった時、客席の全員が立ち上がって拍手していた。「ありがとございましたーっ!」なんて、こちらが言う台詞せりふだと思いながら、胸が詰まって声が出なかった◆「東北にも幸せの太鼓を響かせたい」と岩本友広団長(34)。6人は今、被災地へ支援ツアーに出かけている。ドンドコドコドン。多くの人を勇気づけてくれることだろう。
(2011年5月29日01時05分  読売新聞)

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