政府の地震調査委員会の阿部勝征委員長は、11日の会見で「M9.0の超巨大地震が、今後どういう推移をたどって余震が減るか分からない。1、2カ月ではなくて半年程度は様子をみないといけない」と述べた。同委は、東日本沖の長さ500キロの余震域以外でも、房総沖などの海域でM7~8級の地震が誘発される可能性があるとしている。
過去に世界で起きたM9級の地震の余震活動はいつまで続いたのか。東京大地震研究所によると、東日本大震災の本震と同じプレート境界型のスマトラ沖大地震(04年12月、M9.1)の場合、これまでM7以上の余震が6回発生し、直近では本震の5年半後にM7.5の余震が起きた。余震域の外でも、本震の3カ月後には同じプレート境界沿いでM8.6の地震が発生した。地震研は「余震かどうかの見解は分かれるが、04年12月の影響を受けたことは否めない」とする。一方、1960年のチリ地震(M9.5)ではM7を超える余震は本震後1カ月に3回起きただけだった。
いつ起きてもおかしくないとされる東海地震などへの影響はないのだろうか。名古屋大の田所敬一准教授(地震学)は「3月11日の地震が引き金となって東海、東南海地震が近付くという影響はほとんどない」と話す。
田所准教授は東日本大震災の本震で、東海、東南海地震の発生が想定されるプレート境界で地震が起きる力が増したか試算した。その結果、今回の地震で加わった力は、東海地震が約100年に1度発生するまでにためるエネルギー量の0.1%程度だった。田所准教授は「今回の地震が引き金にならなくても、東海、東南海地震はいずれ起こる。さらに備えをしてほしい」と話す。
島崎邦彦・東京大名誉教授(地震学)は終戦前後の1940年代に東南海地震(44年、M7.9)▽三河地震(45年、M6.8)▽南海地震(46年、M8.0)▽福井地震(48年、M7.1)など被害を伴う大きな地震が連続したことを例に、「大きな地震が連発することは過去に何度もあった。同様なことが今後あってもおかしくない」と注意を促す。
【八田浩輔、須田桃子】
毎日新聞 2011年4月14日 11時13分(最終更新 4月14日 13時58分)
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