東北新幹線は今東京からだと福島止まり。在来線に乗り換え仙台に向かう途中、車窓を絵巻のような風光が流れた。白石川堤の「一目千本桜」だ。ここで列車は低速になり、土手の人ともども旅客もひととき花の並木に思いを巡らす。
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関東大震災でからくも難を逃れた俳人・小沢碧童(へきどう)の「災後句録」に<身に沁(し)みていのちがあるといふばかり>と。生地の東京・日本橋魚河岸の焦土を目の当たりにして詠んだ。
いのちがある。昨日、陸前高田の高台で被災者が集い、まだつぼみの桜をめでた。眼前には津波に壊滅した街並み。「ふるさと」の合唱が流れた。
この歌、被災地のあちこちで。復興のテーマ曲になった。
毎日新聞 2011年4月18日 東京夕刊
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