福島第1原発:GE会長、支援表明…反原発世論抑える狙い
福島第1原発の建設を手掛けた米ゼネラル・エレクトリック(GE)のジェフリー・イメルト会長が4日、海江田万里経済産業相と会談し「あらゆる支援をしたい」として事故の収拾、電力不足への対応の両面で全面協力する考えを示した。原発メーカーの仏アレバも3月末にトップが来日し支援を表明。世界の有力メーカー首脳が続々来日する背景には、原発事故を解決し、反原発の世論を抑え込むと同時に、廃炉などでの商機を見いだしたいとの思惑がうかがえる。【乾達、弘田恭子、浜中慎哉】
◇経産相と会談
イメルト会長は会談で「事故収束に向け、世界中の企業や専門家とチームを組んで協力する」との考えを強調した。原子炉の冷却機能の回復とともに、放射能除去などで必要な支援を行う方針。また、夏場の電力不足に対応するため火力発電所用のガスタービン発電機20基を確保し、一部をすでに出荷したことを明らかにした。
GEは原子力事業の他、金融や医療などを手掛ける複合企業。第1原発の1号機と2号機の原子炉製造を手掛けるなど世界有数の原子炉メーカーだったが、米国の原子力開発停滞に伴い事業を縮小。10年の売上高に占める原子力事業の割合は1%に満たないが、ライセンス供与を含めると、建設にかかわった原子炉はこれまでに世界で92基に上る。
イメルト会長は会談後、記者団に原発の製造責任を問われ、「40年間安全性を維持してきた」と述べるにとどめた。日立と共同で計1000人以上の技術者が24時間体制で、福島第1原発で支援していると強調。原発不信の払拭(ふっしょく)に躍起だ。
◇仏アレバ、廃炉に商機思惑も
一方、アレバ首脳の訪日について、同社と提携関係にある三菱重工業の幹部は「目的は廃炉ビジネスだ」と指摘する。
アレバは、核燃料から原子炉製造まで手掛ける世界最大の原子力総合企業。仏政府など政府関連機関が9割の株を持つ、事実上の国営会社だ。原発事故対応のノウハウもあり、79年の米スリーマイル島原発事故の事故処理に関わったほか、86年の旧ソ連チェルノブイリ原発事故では、廃炉作業をアレバの前身の会社が中心となった仏企業連合が受注するなど、事故を処理してきた実績がある。
今回の訪日に合わせてアレバはまず、放射性物質を含む水処理などの専門家チームを派遣することを決めたが、その後の廃炉ビジネスまでを見据えているとみられる。
毎日新聞 2011年4月4日 21時07分(最終更新 4月4日 21時17分)
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