枝野官房長官の記者会見全文〈4日午前〉
枝野幸男官房長官の4日午前11時15分の記者会見の内容は次の通り。
【原発事故】
――福島第一原発2号機ピットの汚染水漏れは、打開策を模索しているが進展ない状況だが、どう見るか。ほかの策はあるか。
こうした状況が長い時間継続して、積算としての放射線物質の流出量が大きくなれば、それだけ拡散して薄まるといっても、海に対する影響が大きくなる。一刻も早く海に広がっていく状況を止めないとならないとの強い思いを持っている。
(政府と東京電力の)統合本部のもとで、東電に対しても早急な対応を求めているところだ。原発の敷地内の方の配管の流出経路のところでの対応と、原発の海側のところは一定のところ、海のところで食い止められないかと。両面、様々想定しうる、可能性のある対処方法は同時並行で検討と作業を進めるよう指示している。両面、あるいはそれぞれについても複数のやり方を検討しているという報告はあがってきている。
――土壌汚染と海の汚染を比べ、専門家の中には「海は薄まるから土壌よりは汚染の程度が悪い状況ではない」との指摘も。土壌と海への流出の度合いをどう認識するか。
専門家の方によってもいろんな意見があると思う。いずれにしても、高濃度の放射性物質を含んだ水が海に流れ続けている状況は、できるだけ早く止めないとならない。当然、土壌にしみこんでいくこともそうだが、どちらがどうというよりも、どちらも急いで止めないとならないという問題意識で対応している。
【温室効果ガス削減目標見直し】
――いま気候変動の締結国準備会合が開かれている。日本政府代表が現地記者会見で、温室効果ガスの削減目標見直しの必要性に言及した。原発事故が削減目標に与える影響は。
今回の大震災は、日本の様々な分野に大きな影響を与えることは言うまでもない。具体的に、どこにどういう影響を与えるのかについて現時点で確定的なことを申し上げられる状況にないと思う。まずは被災者の救援と復興、それから原発の事態収拾ということに全力を挙げつつ、そのなかで中期的な我が国の様々な課題について与える影響というのは順次明らかになっていくし、順次方向性を決めていかねばならない。現時点で、温暖化対策について具体的な方向性を申し上げる段階ではない。
【大連立】
――与党が閣僚3人増を提案した。自民党にも人材提供を求めるのか。
今、与党から野党に呼びかけをし、お願いをしている。閣僚あるいは副大臣などの増員については、そうしたいわゆる政局的な問題とは別次元で、現に震災前と震災後では政府の果たすべき役割、特に緊急性を持って果たすべき役割は比較にならないぐらい大きくなっている状況のなかでの行政的必要性の観点でお願いしていると認識している。
――大連立で自民党内は「前提条件は菅首相の交代だ」との声も。一方で、民主党の岡田克也幹事長は「首相続投が大連立の前提条件だ」と。どう考えるか。
まず、私は新聞紙面などでは大連立とかいろんなことが躍っているが、私は以前からも申し上げてきていると思うが、こうした大震災、原発事故という状況を踏まえ、野党のみなさんも政府に全面的に協力すると言ってきて頂いている。実際にも与野党の協議の場を通じて、あるいはそれ以外の場面もあって、野党のみなさんからも大変建設的で有意義なご提案や情報を頂いている。こうした党派を超えたご協力を頂いているという状況のもとで、政府としては政府の果たすべき責任をしっかり果たしていくということだと思っている。
【復興構想会議】
――復興構想会議の人選や規模の検討状況は。
11日を目標に立ち上げたいということを総理がおっしゃった気がしているが、具体的な規模、人選については総理の下で検討しているが、今の段階で具体的なことを報告する段階ではない。
――国会議員は入るのか。
今の段階でそういうメンバー構成ということでということについては報告する段階にない。
【原発事故その2】
――政府が建屋をシートで覆うことを検討という報道がある。官房長官も以前は色々検討していると言っていたが。
前段のお尋ねだが、少なくとも政府ということの意味が私なり総理なりからということであれば、具体的に今のようなレベルの話について指示をしたということはない。ただ、統合本部のもとで、東電と政府とで共同して様々な対応策について協議し検討し、そして可能性のあるものについてはあらゆる手段について同時並行で進められることは進めていくということでの報告は受けているので、そういったものの中にそうしたことが含まれている可能性はあるのではないか。
【汚染データの誤記載】
――今朝の読売に「官邸HPの汚染水のデータに誤記載があった」とあるが、経緯は。
東電から経済産業省原子力安全・保安院を通じて受けた報告については、基本的にはそれをとりまとめた形でペーパーにして報告しているが、そこに載っていたものが正確なものではなかったということが指摘を受けて明らかになったということだ。
ここはなかなか難しいところで報告を受けたものが直ちに集約されたものに載せてほぼ自動的に報告をするべきであると。それは、私は原則そうだと思っているが。そうしたことの中での確認が不十分だったこということについてはしっかりと徹底させなければいけない。
【放射線量調査】
――文部科学省などの調査で全国各地の放射能の濃度が減少傾向。今後、福島第一原発に異変がなければ、減少傾向は続くと見ているか。
改めて専門的な詳しいことは保安院や原子力安全委員会の会見でもお尋ね頂ければと思うが、原発からの一定の放出は残念ながら現時点でも続いている。一方で、当然のことながら、一番多い時に比べれば、放出量は圧倒的に少なくなっている。特にヨウ素などは半減期も短いから、それによる出たものについても影響が小さくなることはあるが、ある段階まではそうした今の状況が続けば下がっていくんだろうが、時間の経過で減る部分とそれから残念ながら原発から、量が減っているが出ていることによる影響は、どこかで何と言うか、減少が止まる可能性はあり得るんだろうと思っているので、こうしたことについても、専門的に分析を、特に近い地域に対する影響については、考慮しなければならないので、専門的に分析を頂く、いまの段階で、確定的にどのくらいの水準で下げ止まるかとか、どのぐらいまで下がるのかということは、残念ながら原発からの放出量そのものを正確に測れる状況ではないので、確定的なことは残念ながらまだ申しあげられない。
【温室効果ガス削減目標見直しその2】
Q:削減見直しについて、政府内でこうした考えが出たことについてどう考えるか。
私が報告を受けているのは、公式の発言ではないところで、可能性のことについて触れられたと報告を受けているが、一般論として先ほど申しあげたとおり、震災の前と後では、あらゆるテーマについて我が国を取り巻く状況が大きく変化している。これはある意味ではどなたも同じような認識をされていることだと思っているので、そうしたことの中で、様々な見方があり得ることは否定しない。
しかしながら、今の段階で、確定的に方向性を判断できるだけの状況になっているかというと、それは特に原発の今後の状況や、被害状況、震災の被害状況もまだ確定的に全部把握しきれているわけではない。そしてこれからどういう復興がなされていくのか、こうした復興についての方向性や、それの実現度合いを見ながら、今回の震災による様々な課題についての影響を踏まえた対応というのははじめて、方向性を定められる。
――今後の情勢や一定の進展次第で、そうした目標も見直しの対象に入ってくる可能性もあるのか。
「見直しへ」という報道されると、それは違うだろうと思う。あらゆる可能性、25%削減にとどまらず、我が国が抱えている課題については、震災の前と後ではあらゆる課題について、様々な震災の影響を踏まえて、ある段階ではしっかりと検討しなければならないことになっていくという、広い意味での一般的な意味ではあらゆるものが例外ではないと思うが、現時点で見直すという方向性を決めているわけでもないし、決められる状況でもない。
【首相ぶら下がり取材】
――政府は通常体制に移行しているが、今日は首相のぶら下がり取材は設定されるのか。
それについては、総理室で検討している。私の立場から、政府の一般的な認識として申しあげれば、特に原発も現在進行形だし、多くの震災を受けて、避難生活という通常とは違う形で苦労している国民の皆さんがたくさんいる状況であり、政府として適宜適切にしっかり情報を公開、提供していくということは、平時以上に重要だ。そうした意味では、東電を含めて、原子力についても保安院や安全委員会では、適切にスピーディーに情報公開を進めるようにさらに徹底していかなければいけないし、それから震災対応については生活支援本部や、あるいはその下で色々動いている各省庁において、様々な動きについては、適宜適切にスピーディーに公表、公開するようにということは徹底をしていくべきだ。
指摘されたので、そのことを徹底してまいりたい。そうしたことの中で、総理がどういうやり方で、どういうふうに総理として公表、説明しなければならない部分について、しっかりと説明していくのかということについては、必要な部分についてはしっかりと行うと同時に、いま平時以上に総理のところで判断頂かなければならない案件も多いということの中で、そうしたことに支障を及ぼさないで、なおかつ必要なことはしっかりと、総理が説明すべきことについては総理が説明するということの兼ね合いをしっかりとるようにということは、広報官室含めて、私のほうからも指示をしている。
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