東日本巨大地震で被災した東京電力福島第一原発の事故を受け、愛媛県内を訪れる観光客が減少している。
県内有数の観光地・道後地区でも、外国人客を中心に宿泊施設の予約キャンセルが急増し、関係者は「大きな打撃。先行きも不透明で対策の立てようがない」と頭を悩ませている。
国内外から年間約80万人の宿泊客が訪れる道後地区。中でも、台湾や松山空港との間で直行便のある韓国を中心に、県や松山市などが無料送迎バスの運行や現地の旅行会社へのPRなどで観光客誘致を推進してきた。
しかし、ホテル奥道後(松山市末町)では、3月11日~7月の海外予約客約800人の9割以上が、発生後10日間で予約を取り消した。同ホテルの担当者は「前例のない減り方。天災なので仕方ないが、行楽シーズンを前に残念」と肩を落とす。
昨年から韓国の観光客誘致を進めてきた道後プリンスホテル(同市道後姫塚)でも、地震後、約200人がキャンセル。河内広志社長は「福島の事態が落ち着くまで対策を打ちにくい」と話した。
道後温泉本館近くで土産物店を営む田中よしみさん(62)は、「中国や韓国などアジアからの団体客の姿がさっぱり見えなくなった。原発事故が収まる気配がないままでは、ゆっくり温泉にも入れないでしょう」と心配顔。観光客向けの人力車を引く菅亮さん(34)は「春休みはもっと人出があっていいのに、今年は活気がない」と辺りを見回す。
こうした傾向は全国に広がっており、事態を重く見た観光庁は、全国の運輸局に各観光地の外国人観光客の落ち込みの調査を指示。道後地区の旅館で聞き取り調査を行った四国運輸局国際観光課によると、11~31日で約500件の予約のうち、約400件がキャンセルになったという。宮武卓・同課課長補佐は「海外でも原発の報道が連日なされ、広がった不安はしばらくぬぐいきれない」とみる。
中村知事は30日、県庁を表敬訪問した
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