福島第一原子力発電所の2、3号機で、原子炉の熱を取り除く本格的な冷却システムの一部が復旧するめどがたった。
東京電力が1日、明らかにした。
炉心から出る高温の水を、外部から引き込んだ冷たい海水で冷やす熱交換システムで、海水を送り込む部分に仮設ポンプの設置を完了した。近く外部電源につなげて起動を試みる。復旧に成功すれば、代替手段として行っている炉心への注水を減らせて、高濃度の汚染水の外部への漏れも最小限にとどめられる。
一方、爆発事故などで敷地内に飛散した放射性物質がさらに拡散するのを防ぐため、東京電力は1日、放射性物質が砂やほこりと一緒に飛び散るのを防ぐ飛散防止剤の試験散布に着手する。31日に開始の予定だったが、雨で延期されていた。
飛散防止剤は特殊な合成樹脂製で、ガレキなどの表面を固めて砂などの飛散を抑える。散布場所は、重要な機器がない4号機の西側と、5、6号機の北側の2か所。原液約9000リットルを6~7倍に薄めた希釈液約6万リットルを、2週間かけて散布し、その結果をみて本格的な使用の是非を決める。
散布には、容量2000リットルの特殊散水車1台を使用。作業員3人が一組となり、散水車のホースを持って希釈液をまく。同原発の敷地内には放射線量の高いガレキが散乱しており、放射性物質の飛散による作業員の内部被曝
ひばく
が懸念されていた。
1~4号機のタービン建屋地下にたまった汚染水の処理は、1、2号機の復水貯蔵タンクから圧力抑制室用水タンクへ水の移しかえが1日、行われる予定。3号機は復水貯蔵タンク内が空になった状態で東電が作業を中断し、「玉突き排水」の短縮を検討している。東電は同日、1、2号機のタービン建屋の照明復旧も目指す。
(2011年4月1日11時29分 読売新聞)
No comments:
Post a Comment