Sunday, April 24, 2011

25/03 菅首相の会見全文〈25日午後7時半〉

2011年3月25日21時6分

 菅直人首相の25日午後7時半過ぎの記者会見の内容は、次の通り。

 【冒頭】

 地震発生から2週間を迎えた。被災された多くの皆さんに、改めて心からお見舞いを申し上げます。政府は、現時点で二つのことに全力を挙げて取り組んでいる。その第1は、福島第一原発事故の事態収拾と放射能汚染へのしっかりした対応だ。第2は被災者の方々への支援と、さらに、復興に向けての準備を本格化させることだ。

 まず、第1の福島第一原発について申し上げる。東京電力、自衛隊、警察、さらには東京や大阪などからの消防隊、そういったみなさんが本当に命がけで活動をされていることに、心から敬意と感謝を表したい。昨日、被曝(ひばく)により病院に搬送された方々にも、心からお見舞いを申し上げます。安全性に十分留意し、冷却機能復旧に向けて事故対策統合本部を中心に官民一体で、さらには米軍などの支援もいただいて、事態収拾に全力を挙げているところだ。

 また一方、放射性物質の食物や水などへの影響については、自治体と連携してしっかりモニタリングをするよう、そのモニタリングの強化を進めてきた。得られた情報は、迅速に開示し、すべてを国民の皆さんに、あるいは国際社会に対しても透明性高く公開してきた。同時に、健康に及ぼす影響についても、しっかりと説明してきた。これからもこうした姿勢で臨んでいきたい。さらに、農家や酪農家など事業者の皆さんには、大きな損害を与えていることに心からおわびを申し上げたい。こうした皆さんには、確実な補償と支援を行うという点で万全を期したいと考えております。

 また、第2の、被災者支援とこれからの復興に向けて申し上げる。支援物資の供給は引き続き充実させていく。また、ボランティアの円滑な活動を震災ボランティア連携室が支援する態勢をとった。岩手、宮城、福島をはじめ、さらに茨城、千葉など、被害は広範囲に及んでいる。そうしたすべての地域をもれなく支援していく。

 その上で、今後は本格的な復旧復興にも目を向けて、準備を進めていかなくてはならない。住宅、医療、介護、教育、雇用などそうした生活の面と、同時に、漁業、農業、そして工業など生産活動の両面から、この地域全体の、そして暮らし全体の再建が必要と考えている。政府は、被災者生活支援のための対策本部を設けた。ここを中心に人材を総動員して、各地域の要望を実現できる、そうした態勢をつくった。その一環として、被災地域の行政について政府の職員も派遣をして支援する、そうした取り組みも進めたいと、こう考えている。震災に伴う負担を個人や個々の家庭だけに押しつけるのではなくて、社会全体、国全体が負担を分かち合う、こういう姿勢で臨んでいくので、どうか被災を受けられた方も勇気をふるって復興に向けて歩んでいただきたい。そのようにお願いを申し上げます。

 このように政府は、すべての能力を発揮する姿勢で昼夜を分かたず全力を挙げていることを、ぜひ国民の皆様にもお伝えしたい。そして同時に、被災を受けられた皆さんをはじめ、すべての国民がこの戦後最大の危機に対して、それぞれ力を合わせ、力をふるって立ち向かっていただいていることに心から敬意を表すと同時に、これからもその姿勢でこの危機をともに乗り越えていこうではありませんか。

 震災発生から2週間目にあたって、これからの国民の皆さんの一層の団結と、一層の、この危機を乗り越えていこうという気持ちをひとつにする、そのことをもって、今日、2週間目にあたっての私からの国民の皆さんへのメッセージとさせていただきます。

 【原発事故への対応】

 ――福島第一原発をめぐる政府の対応を聞きたい。首相が住民の方々に出している避難指示は当初の3キロ圏内から10キロ、20キロと変わり、20キロ~30キロが屋内退避となっている。今日は20キロ~30キロの屋内退避の方々に自主的な避難を要請した。この間の経緯を振り返ると、悪化する事態に対して政府の対応は後追いしているのじゃないかというのが否めない。政権の危機管理の観点から、どのように考えているのか。

 この退避の範囲については、原子力発電所の状況。また、放射性物質が気候の関係も含めて、どこにどう行くのかという予測、そして、なによりも各地域で得られたモニタリングの数値などに基づいて原子力安全委員会が中心となってその専門家のみなさんの分析、判断をいただいた上で、最終的に政府として退避の指示を出している。そういった専門家のみなさんの判断を尊重した対応で、これまでもあったし、これからもそうした姿勢で臨んでいきたい、こう考えている。

 ――首相は現段階での原子炉、福島第一原発の現状をどのように認識しているのか。また、収束させるメドについてどう考えているのか。さらに、避難指示の範囲を拡大する考えはないのか。

 今日の福島第一原子力発電所の状況は、まだまだ予断を許す状況には至っていない、悪化を防ぐという形で対応しているが、予断を許す状況にはなっていないという認識を持っている。引き続き、極めて高い緊張感を持って一つ一つの事態にあたっていかなければならない局面が続いている、このように認識している。

 【被災者支援】

 ――現在も多くの方が避難所で苦しい生活を余儀なくされている。仮設住宅についてどういうスケジュール感を持っているのか。

 仮設住宅については震災発生直後から国交省、大畠国土交通相を中心に、関係方面にその仮設住宅に使うプレハブの発注などを進めてきている。早いところでは月内にもそういう作業が始まるのではないかと思うが、いずれにしても大変大規模な震災なので、しっかりと地元の皆さんの希望を聞いて対応していきたい。それぞれ、先ほど申し上げた被災者支援対策本部において、そうした計画をしっかりと立てて進めていきたいと考えている。

 【原発事故への対応その2】

 ――日本政府は20キロ圏内の住民に避難指示を出しているが、各国政府は大使館などを通じて80キロ。在日外国人に不安が広がった。日本政府が諸外国とうまくコミュニケーションをとれていないのではないか。情報が必ずしもすべて出ていないのではとの指摘もある。どのように改善していくのか。

 まず最初の点は、先ほども申し上げたが、退避の範囲については原子力発電所の状況とか、放射性物質がどう拡散していくのかという予測、さらには各地域で得られたモニタリングの数値などを中心にして原子力安全委員会、これは専門家の皆さんの集まりなので、この皆さんを中心に専門家の皆さんに分析、判断をしていただいたうえで、そこの助言、あるいは勧告をいただいたなかで退避の範囲を決めている。

 各国の考え方について、それぞれの国による基準が設定されていると思うが、我が国がそれらの国に対してしっかりと情報を提供するというのは当然のことだし、それに努めている。この間、いろいろな形で各国に情報提供をしているが、例えば各大使館、あるいは英語による記者会見など状況についてすべての国々、あるいは国際機関に透明性高く情報提供をしていて、その点については各国政府からも我が国の情報提供については十分透明性があるというふうに理解が深まってきているものと、このように認識している。

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