日本人の6割が自宅を持ち、65歳以上の夫と60歳以上の妻のみの世帯では9割近くに達する。老後の生活費が不安な場合は、自宅を活用して生活費を生み出す方法がある。
子どもの独立などで、広くなった自宅をもてあましている人は少なくない。売却する手もあるが、築20年以上の戸建てでは、建物の資産価値は考慮されないことが多い。自宅を貸し出すことができれば、家賃収入が得られる。
一般社団法人「移住・住みかえ支援機構」(JTI、東京)は、国の支援を受け、2006年から「マイホーム借上げ制度」を実施している。50歳以上の人が所有する住宅を借り上げ、周辺の相場より1割ほど安く貸し出す。
例えば、さいたま市のある戸建ての場合。築25年で周辺相場が10万円。JTIが設定した賃料は8万~9万円。これで借り手が見つかれば、管理費など15%を差し引いた6万8000~7万6500円が家賃収入となる。自分たちはそれより安い賃貸住宅に住むことで、差額を生活資金に回すことが可能だ。入居者がいなくなり空き家になった場合でも、6万8000円は保証される。借り手との契約は3年ごとに見直されるので、その際に自宅に戻ることもできる。
対象となるのは全国の戸建てやマンションなど。物件は耐震基準を満たしていることなどが条件。リフォームが別途、必要になることもある。郊外の住宅地から利便性の高い都心部へ、反対に自然豊かな地方に住み替えるなど様々なパターンがあり、これまで約240戸が貸し出されている。
このほか、横浜市や福岡県なども、独自の住み替え支援策や、高齢者向け賃貸住宅の仲介などを行っている。地域の活性化のために、住み替えの相談に応じているNPO法人もある。
立地や物件によっては借り手が付かないこともある。地元の不動産業者に尋ねるなどして、自宅が人に貸せるか調べておくとよいだろう。JTIや日本賃貸住宅管理協会が設置する「住替え支援センター」でも、無料の相談窓口を設けているので参考にしたい。
■住み替え相談の電話窓口 |
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▽移住・住みかえ支援機構 03・5211・0757(午前9時~午後5時) ▽住替え支援センター 0120・282・009(月曜と木曜の午後1時~5時) ※いずれも年末年始、祝日を除く |
(2011年3月28日 読売新聞)
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