Monday, March 28, 2011

26/03 災害の国際協力 アジア太平洋諸国と連携密に(3月26日付・読売社説)

 東日本巨大地震と東京電力福島第一原子力発電所の事故を踏まえ、日本と中国、韓国の3か国が防災や原子力安全の分野で協力関係を強化することになった。

 京都で19日に行われた日中韓外相会談で合意した。具体的な協力内容は、事務レベルで詰めるという。検討を加速してほしい。

 韓国は、震災発生翌日に救助犬チームを、その後まもなく100人超のレスキュー隊を被災地に派遣した。中国の救助隊15人も震災3日目に現地入りした。

 隣国同士という地の利を生かした災害発生直後の救援活動は、3か国の協力の柱となろう。

 物資面では、韓国から火力発電所の燃料となる液化天然ガス50万トン、中国からガソリンなど燃油2万トンの融通を受けた。

 中国や韓国で大規模災害が起きた時は、日本が速やかに救助や支援活動に動く。そうした「共助」の仕組みに、今回の中韓両国の支援をつなげたい。

 韓国は、原発事故に関連して、核分裂を抑える効果があるホウ酸も提供した。原発の点検・補修用に備蓄していたものだが、事故発生時に緊急物資の調達で協力する仕組みがあれば有益だろう。

 原発事故の際には、迅速に事故情報を国内外に提供し、共有することが最も大切である。

 中韓両国でも、今回の事故直後に、大気や海水が放射能で汚染されるとの「風評」が広がった。

 正確な情報の提供は、事故の当事国に課せられた責務だ。外務省はホームページで英語のほか中国語と韓国語で震災情報を掲載するようにしたが、より多くの言語で情報を提供する必要があろう。

 今回の津波では、米国の西海岸やインドネシアなどでも被害が生じた。太平洋に面する各国にとって、大規模な津波への対応は共通の課題である。

 インドネシアでは先週、米国や豪州、インド、東南アジア諸国など25か国以上が参加する災害救援の実動演習が実施された。

 日本、インドネシア両政府の共催で、津波被害を想定して避難やヘリ輸送、瓦礫
がれき
下の捜索活動などの演習が行われた。いざという時に必ず役立つノウハウだ。これを機に定例化してはどうか。

 日本への支援の申し出は、米国やアジア諸国以外にも、欧州、中南米、中東、アフリカの各地から寄せられ、その数は約130か国にのぼる。感謝したい。この国々が困っている時は、日本も必ず支援の手を差し伸べたい。

(2011年3月26日01時10分 読売新聞)

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