Friday, July 8, 2011

08/07 憂楽帳:世界遺産・西湖


 小笠原の世界遺産決定に沸いた日、中国浙江省杭州市の西湖も世界文化遺産に選ばれた。満潮時に川の水が逆流することで有名な銭塘江の堆積(たいせき)物でせきとめられた自然の湖で、蘇東坡や白居易らが詩に詠んだ中国を代表する景勝地だ。「○○西湖」と名のつく湖は中国各地にあるが、本家はここ。中国の世界遺産としては41番目になる。
 清朝の乾隆帝が、江南視察で訪れた西湖を忘れられず、北京郊外に模して造らせたのが頤和園(いわえん)の昆明湖。西太后が軍事費を流用して改修、北洋艦隊の装備が更新できず日清戦争の敗因になったともいわれる。本家より先に98年に世界遺産となった。
 福岡市の大濠公園も大正末、東京帝大の本多静六教授と弟子の永見健一講師が西湖をモデルに設計したという。
 西湖3323ヘクタール、昆明湖220ヘクタール。皇帝なら輿(こし)に乗ればいいが、旅行者が回るとなると足が棒になった。馬英九台湾総統も10年前、台北市長時代に来福、大濠公園でジョギングを楽しんだ。運動不足のわが身も、池面積22ヘクタール、1周2キロの大濠公園あたりがちょうどいいか。中国世界遺産全制覇まであと13カ所。足腰を鍛えねば。【小林猛夫】
毎日新聞 2011年7月8日 西部夕刊

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