Friday, July 8, 2011

08/07 経産省大揺れ…海江田大臣、辞任示唆

重要法案 不透明に

海江田経済産業相が原子力発電所の再稼働問題の混乱を巡り、7日の参院予算委員会で「いずれ時期が来たら責任を取る」と辞任の可能性を示したことは、今後のエネルギー政策や経済産業行政に影響を及ぼしそうだ。(植竹侯一)

東京電力の福島第一原子力発電所事故の賠償や東電の経営問題、電力不足、再生可能エネルギーの普及といった重要課題に加え、経済産業省幹部のインサイダー取引疑惑も発覚し、省内に動揺が広がっている。

経産相は同日夕の記者会見で早期の辞任は否定したものの、「私の中で時期が到来したらということだ」と述べ、辞意が固いことを強調した。

経産相の不満は、原子力政策に対する菅首相の指示が一変した点にある。経産相は定期検査中の原発について、「原発の安全性は国が責任を持つ」と再稼働を全国の自治体に訴えていた。

だが、菅首相が6日に新たな安全基準の策定を突然に指示したことで、ハシゴを外された格好になった。特に7月中旬に地元から再稼働を取り付けることを目指していた九州電力の玄海原発については、ブレる政府の対応に佐賀県知事や地元町長が猛反発している。

さらに新たな安全基準について、菅首相が参院予算委で「経産相が判断すればいいというのでは国民は納得しない」と述べ、細野原発相にも策定に関与するよう指示した。基準策定には原子力安全委員会も関与するなど、基準作りだけでかなりの時間がかかる可能性がある。来年4月には国内54の全原発が運転停止に陥る最悪の事態も予想されるなか、矢面に立たされ続けた経産相も我慢の限界に達しつつある。

インサイダー疑惑追い打ち
今国会には、東京電力福島第一原発事故の被害者に東電が賠償する原子力損害賠償支援機構法案や、太陽光発電の普及などを目指す再生可能エネルギー特別措置法案などが提出され、いずれも海江田経産相が答弁を担当する。両法案とも野党が問題点を指摘し、修正協議が焦点となっており、「海江田経産相が早期辞任したら、後任には対応できない」(経産省幹部)とみられる。

菅首相に副大臣昇格を打診、撤回された中山義活経産政務官は、「経産省が積み上げてきたものを首相がみんなダメにしてしまう」と、省内の不満を代弁する。

ただ、経産省自体も幹部のインサイダー取引疑惑で、管理体制が問われている。原発事故以来、経産省を敵視し続けている菅首相にスキをみせたことになる。

経産相と首相との間で摩擦の火種がくすぶり続ければ、原発の再稼働が進まないだけでなく、機構法案審議の停滞が金融市場に影響を及ぼしたりと、実体経済にも打撃を与える恐れがある。

(2011年7月8日 読売新聞)

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