東日本大震災以来、操業を中止していた石巻港(宮城県)を拠点とする中型底引き網漁船13隻が7日早朝、同県塩釜市の仙台塩釜港から出漁した。乗り組むのは石巻市、女川町、東松島市、塩釜市に住む漁師約100人。震災の海への影響を心配しながらも久々の漁に高ぶりを隠しきれずにいた。
仙台塩釜港は生マグロの水揚げ量全国1位(10年)の港で、スケトウダラなどの底引き網漁船の出航に使用されることはほとんどない。しかし、拠点の石巻港が復旧していないため、漁船を仙台塩釜港に停泊させていた。
スケトウダラやカレイ、ハモなどが9日未明までに水揚げされ、同日早朝の競りに出される予定。4~6月は福島沖の漁獲高が増えるシーズンだが、東京電力福島第1原発事故を受け、当面は宮城沖の北側で操業するという。
出漁前、同県沖合底引き網漁業協同組合の鈴木廣志組合長(62)は「海中のがれきが、船のスクリューに絡まないか心配だ」と話した。第32竜丸の乗組員、細谷幸夫さん(60)=塩釜市=は「風評被害など、心配事はたくさんある。しかし、海に出るのは楽しみ。大漁を期待する」と、約2カ月ぶりの漁に笑みをこぼした。【三村泰揮】
毎日新聞 2011年5月7日 10時58分(最終更新 5月7日 11時05分)
No comments:
Post a Comment