東日本大震災で被災した宮城県気仙沼市のカップルが5日、山口県宇部市であった新川市(しんかわいち)まつり(同まつり実行委主催)のイベント「うべ狐(きつね)の嫁入り行列」に参加し、市内の神社で公開結婚式を挙げた。
ともに会社員の森谷(もりや)和幸さん(26)と糟谷(かすや)由佳さん(28)の2人。津波で森谷さん宅は全壊し、今は糟谷さん宅で暮らすが、母親ら親族は避難所住まい。今秋予定の結婚式を実現できるか不安な思いでいた。
4月に入り、現地で活動する宇部市の復旧支援ボランティアを通じて「嫁入り行事」の開催を知った森谷さんが、実行委に参加を打診。2人を呼ぶために実行委が募った寄付金(約120万円)にも支えられ、既に決まっていた地元カップル1組に加え、追加婚礼が実現した。
「嫁入り行列」は、町おこしにつなげようと始まり、今回で9回目。狐の婚礼と考えられていた狐火が付近の山にともると、豊作、大漁となったという江戸時代の伝承に基づく。狐の花嫁と花婿の化粧をした2人は、気仙沼などから駆けつけた親族が見守る中、大通りを人力車で行進した。
森谷さんは「前向きに、力を合わせて、明るい家庭を築きます」。糟谷さんは「2人一緒だから大丈夫」と話していた。【尾村洋介】
毎日新聞 2011年5月6日 19時51分(最終更新 5月7日 2時43分)
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