Saturday, April 16, 2011

30/03 枝野官房長官の会見全文〈30日午前9時50分〉

2011年3月30日13時57分

 枝野幸男官房長官の午前9時50分からの記者会見の内容は次の通り。

 【子ども手当】

 ――今朝の臨時閣議で子ども手当法案の取り下げを決めたのか。

 「いや、今日の臨時閣議ではなかった。党の国会対策委員会の方で、院の方で、野党と相談している。必要あれば、持ち回り閣議になる」

 ――政権の看板政策を取り下げることについてどう考えるか。

 「ひとつには、実際に年度がまもなく替わる。現在の法律が切れる。そのことで実際に子ども手当の給付を受けている皆さん、給付事務をしている地方自治体の皆さんに、このままでは多大な迷惑をかける。そのなかでそうした皆さんに迷惑をかけることなく、しっかりと新年度を迎えるのは大変重要なことだ。なおかつ、今の国会状況のなかで、その先のことについては、しっかりとさまざまな意見を踏まえた議論を進めないといけない。こういった状況を踏まえ、党の方で各党と相談している」

 ――子ども手当見直しで前より負担が増す世帯も。その対応は考えているのか。

 「まずは新年度を迎えるにあたって、混乱を最小限に抑えること。そのうえで、いまのような側面も含め、これは政府としては、今国会に出している案が望ましいものだとの思いで出している。決定するのは国会なので、国会における様々な議論を踏まえ、最終的に結論が得られると思う」

 【原発事故】

 ――放射能対策で布を原発の建屋にかぶせて飛散を防ぐとか、汚染水をタンカーで回収するとかいった案を検討しているとの報道がある。事実関係は。

 「原発の状況を収束に向かわせるため、あるいは原発による周辺地域への放射能汚染を最小限に食い止めるため、健康への被害を阻止するために、専門家の皆さんを含め様々な可能性、手法について検討を頂いている。そうした検討のなかに、報道されていることも含まれているのは間違いないが、最終的にどういう手法が可能でかつ効果的であるのかという結論が出ている段階ではない」

 ――原子力安全委員会の昨日の記者会見で、原子炉と燃料プールの冷却に年単位の時間がかかるとの見通しが示された。その見通しの妥当性は。

 「まさに私どもは専門家の皆さんの知見に基づいて政策的、政治的判断をしている。原子炉の中にあった燃料棒、あるいは使用済み燃料棒の温度が、ある程度安定的に下がるまでには相当な時間がかかる。だからこそ一義的には従来の原発と同じように、安定的に冷却させるということを模索、検討している。もちろんそれ以外の場合についても、様々な検討は専門家の皆さんにして頂いている」

 【農産物の出荷制限】

 ――出荷制限、摂取制限の農産物について。制限の対象になっていても、いまは規制値を下回っているものもある。制限の解除について、どう考えるか。

 「当然、安全なものについては出荷制限などをかけず、逆に出荷制限などがかかってないものについては安全なので、ぜひ流通関係の皆さん、消費者の皆さんも、そこはしっかり受け止めて頂いて、風評被害などで農業者の皆さんはじめ、影響の出ないようご協力頂きたい。そのうえで、一度基準値を上回ったなどで出荷制限などの指示が出されているものについては、しっかりしたモニタリングに基づき安全性が継続的に確保されるということが確認されたら、その時点でできるだけ速やかに出荷制限などの指示を解くということになる」

 「しかし、これ何度も言っている通り、気候・天候などによって影響を受けうるものである。そのなかで、そうした状況も含めて、いったん基準値が下がったものについて、どの段階で判断するかは専門的なモニタリングや分析も踏まえて常に検討している状況だ」

 ――首都圏の知事が解除の仕組みを明確に示すようにと申し入れた。可能か。

 「それはこういう仕組みで解除するということはできるだけ整理された形で、特に関係者の皆さんにとっては大変強いご関心だと思うので、できるだけ早く整理して、なおかつ分かりやすい形でお示ししたい」

 【避難指示】

 ――原子炉の冷却に相当の時間がかかるということだが、避難指示や自主避難を見直す考えは。

 「これについては、その時点で当面考えうる状況を踏まえて、国民の皆さんの健康を守るという観点から、避難などの指示を出させていただいている。当然のことながら、例えば長期化という状況も、時間の経過とともに、それに基づいて安全性の観点などを踏まえた対応が必要になることは可能性としてはあるわけで、逆に、数日前から申し上げている通り、放射線量の状況が安定していることがあれば、ご要望の多い一時帰宅などができないかどうかという方向の検討もしている。そういった意味では、客観的な放射線量、あるいは大気中の放射線物質の量などのモニタリングに基づいて安全性を確保するという観点から、様々な選択肢を常に検討しているという状況」

 【原発事故その2】

 ――福島第一原発の2号機、3号機の圧力容器の損傷について。

 「これについては従来から申し上げている通り、何らかのルートで原子炉から放射性物質が出ていることについては、従来から申し上げてきている。残念ながら特に水に高い放射線濃度の水が、2号機だったでしょうか、出ていることを含めて、どの部分からどういう形で出ているのかということを確定できないかという努力を現場で進めて頂く一方で、専門家の皆さんの様々な分析で確定はできないが、様々な可能性、特に健康被害という観点では、できるだけ悪い方の可能性に基づいて対応してきている」

 「今後とも測定に向けた努力と常に周辺のモニタリングの数値に基づいて、特に周辺の皆さんに影響を与える可能性が高まるのであれば、それについて遅れることのないようにという緊張感を持った対応を進めていきたい」

 ――圧力容器の損傷を示すデータの報告はあるのか。

 「これは保安院などに改めてお尋ねをいただければと思うが、圧力容器と格納容器の圧力の関係などで、専門的な分析はそれぞれ保安院や東京電力からされているかと思っている。もう一つは、燃料に由来すると思われる放射性物質が外に出ているので、少なくともどこかの炉なりプールなりの所から、もしそれが炉だとすれば圧力容器の中に燃料があるから、そこから何らかの形で放射性物質が外に出る状況があったのか、いまもあるのか。そういう状況であることは認識している」

 ――福島第二原発の状況は。

 「第二原発についても、この間、連日というか、時々刻々状況についてはしっかりと報告させているところ。現状では第二原発については、それぞれ冷却がしっかりとできる状況になっているということ。原子炉もそうだし、燃料プールについてもだが、基本的には運転している状況と同じように、しっかりとした冷却ができている状況。そうしたなかで、運転は停止している。ただ、通常の原子力発電所では、冷却などのシステムについてはバックアップがいくつもの系統にあって、一つが不具合が生じた時でもすぐ別のものに切り替えられるという複線的な対応をとっているが、その部分には損傷があるので、いま、燃料棒などの状態については問題ない状況だが、そうしたバックアップ、二次的、三次的なシステムについての復旧を急がせている状況」

 【農産物の出荷制限その2】

 ――野菜の出荷制限の区域を細分化する検討はしているのか。

 「できるだけ細分化できた方が望ましいと思っているが、一方で安全性も確保しなければならないというなかで、どの程度きめ細かくモニタリングができるか、調査、データを収集できるかということとの相関関係のなかで、安全性に問題を生じない範囲内で、できるだけ細分化できないかという検討と努力は進めていただいている」

 【ロシアの戦闘機】

 ――ロシアの戦闘機が29日に日本上空で、放射性物質の採取を行っていたのではないかとの報道がある。

 「具体的な話については外務省、防衛省にお尋ねをいただければと思う」

 【原発事故その3】

 ――原発の布とタンカーの件だが、実現性と、まだ実現できていないことによるリスクについて、どう考えるか。

 「その二つのことが報道されているが、あらゆる可能性、あらゆる選択肢について専門家を含めて検討していただいているということであって、そのなかに報道されているものも検討の選択肢の中に含まれているということなので、まさにあらゆる選択肢の中で原子力発電所の状況を収束させる、あるいは周辺への影響を防いでいくことについて、いまはあらゆる選択肢を検討していただいて、その実現可能性や効果の点を含めて、ある段階では政治的な判断を求められるだろうと思っている。いまは実務的な検討をしている状況だ」

 【原発事故対策チーム】

 ――原発事故の官民合同の対策チームができ、「遮蔽(しゃへい)PT」など三つの班に分かれているとの報道あるが事実関係は。

 「具体的に班という形なのかどうかまでは私の立場では承知はしてないが、様々な手法、様々な部分についての検討、それぞれについて専門的な担当者、あるいは場合によっては外部の有識者を含めて様々な検討をしているという報告は受けている。当然、それはあらゆる可能性とあらゆる対応策について、それぞれ専門的に検討いただくのは当然のことだと思っている」

 【駐日中国大使の発言】

 ――程永華駐日中国大使が昨日の記者会見で、支援物質受け入れでもう少しスムーズにやってほしいとの苦言を呈した。

 「中国を含め、多くの国々から今回の大震災、原発事故に対してご協力支援を頂いている。そのことについては大変感謝しているところ。中国に限らず、各国からの申し出については現場の状況からニーズをふまえ、一番効果的なやり方で支援して頂けるやり方を、それぞれ実務ベースでご相談しながらきているところ。そうしたことのなかで、申し出と現地の状況が、なかなかマッチしないというケースも、中国との関係に限らずこの間、あるところ。そうしたことについては実務ベースではしっかりと意思疎通して、こういう事情なので違うご支援を頂けないかということはやって頂いていると思うが、必要に応じて、実務ベースに限らず、そうした事情は各国とも、さらに丁寧にお話をしていきたい」

 【政府の復興本部】

 ――全閣僚による復興本部をつくるとの報道があるが、事実関係は。

 「復興に向けては、特に被災地の皆さんの明日への希望を持って頂くということも含めて、しっかりとした方向性を出していかなければならないと思っている。これについては閣内に限らず、様々な皆さんが様々な有意なアイデアを提起していただいているところ。そうした様々なアイデアというか、意見というものを、いまいろいろと集めながら、政府としてどういった形で提案していこうかという作業に入っている段階なので、現時点でどこか方向性が確定的に決まっているわけではない。様々な提案ご意見というものを集めて整理している」

 【原発事故その4】

 ――プルトニウムについて原発の敷地内で調査しているということだが、もう少し広い範囲で調査する考えは。

 「昨日だったが、一昨日の夜だったか、周辺で原子力発電所の敷地内で検出をされて、そのプルトニウムが原子力発電所由来の可能性が高いという報告を受けたので、それに基づいて原子力発電所内におけるモニタリングをしっかりと定期的に行っていくことの指示を出した。同時にそれ以外のより広い地域における検討が必要なのかどうかは、これは専門家の皆さんのご意見を頂いているところだ。一般的には非常に重い物質だということで、周辺地域のモニタリングがしっかりできていれば、それより遠いところについてのリスクは小さいと、一般的にはご報告受けているが、しかし、国民の皆さんのご心配も大きい点だと思うので、念を入れて関係専門家の皆さんにご意見をいただいているところだ」

 ――ある時期、政治的な判断が必要というが、国民からは原発事故が収束する見通しが立たないことに不満が強まっている。政治的判断のメドを改めて。

 「原子力発電所の事故については周辺の退避、避難されている方はもちろんだが、出荷規制がかかっている農業関係の皆さん含めて、大変多くの皆さんにご不便ご迷惑をおかけしており、政府としても大変申し訳なく思っている。当然のことながら、できるだけ早く収束させたいということで全力を挙げているところ。いつごろ収束できるのかという見通しについても、できるだけ早く申し上げたいと思っている」

 「ただしかし、客観的な状況としては、まさに様々な事象に対して様々な対応策を検討はしているが、今の段階で関係者の皆さんに対して責任を持って『この時期には収束できます』という見通しを申し上げられる状況ではないというのが率直なところで、できるだけ早く時期の見通しが得られるように、そして収束もできるだけ早くできるようにということで、先ほど来、出ている様々な、覆うとかですね、いろんなこと含めて様々な検討を、様々な専門家の皆さんに同時並行で進めていただいているというのが今の状況だ」

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