東京電力福島第一原子力発電所で相次ぐ事故を受け、菅内閣は15日早朝、政府と東電が一体で危機対応にあたる「福島原子力発電所事故対策統合本部」(本部長=菅直人首相)を設置し、放射性物質の放出に備えて、新たに屋内退避も呼びかけた。地震発生から5日目、原発事故が深刻さを増す事態にも対応できず、政権の危機管理能力の欠如が露呈している。
菅首相は15日午前11時過ぎからの記者会見で国民に向けたメッセージを発表し、「1号機、3号機の水素爆発に続き、4号機でも火災が発生している。今後さらなる放射性物質の漏洩(ろうえい)の危険が高まっている」と説明。同原発から半径20キロ圏外への避難の徹底と、新たに半径20~30キロでの屋内退避を呼びかけた。
首相の会見は、枝野幸男官房長官が2号機の圧力抑制室(サプレッションプール)破損を発表してから4時間以上が過ぎていた。首相は「何とかこれ以上の(放射性物質の)漏洩拡大を防げるよう全力を挙げて取り組んでまいるので、国民には冷静に行動していただくよう心からお願い申し上げる」と訴えた。
これに続き枝野官房長官が会見し、2号機の爆発後に2~4号機付近で30~400ミリシーベルトという高濃度の放射線量が計測されたことも公表し、「身体に影響を及ぼす数値であることは間違いない」と認めた。
菅首相は15日午前5時半前、首相官邸で記者団に東電との統合本部発足を発表し、「憂慮すべき状況は続いているが、何としてもこの危機を乗り越える陣頭指揮に立って、やり抜きたい」と強調。その足で東京・内幸町の東電本店2階の統合本部を訪れ、「テレビで爆発が放映されているのに、官邸には1時間くらい連絡がなかった。一体どうなっているんだ」「あなたたちしかいないでしょう。撤退などありえない。覚悟を決めて下さい。撤退した時は、東電は100%つぶれます」と述べた。
統合本部は海江田万里経済産業相と清水正孝東電社長を副本部長とし、海江田氏を東電本社にほぼ常駐させる。同本部設置の背景には、次々と起きる事故に東電の対応や説明が二転三転していることに、官邸が不信感を募らせたことがある。枝野氏は「時々刻々と変わる状況に適切に対応するとともに国民に正確かつ迅速な情報を伝える必要がある」と説明した。
菅政権はこれまで東電から経過報告を受ける姿勢に終始していた。閣僚からは事態を楽観する声すら出て、玄葉光一郎国家戦略相は14日の民主党の地震対策本部会合で、経済産業省原子力安全・保安院の責任者の考えだとして、「絶対にチェルノブイリ(原発事故の二の舞い)はあり得ない、というのが彼らの見解だ」。枝野氏も14日夜の会見で「最悪の事態を想定しても、チェルノブイリと同じようにはならない」と強調していた。
だが、その後、15日未明にかけて燃料棒全体の空だき状態が続くなど事態の悪化を受け、首相が統合本部の設置を提案し、枝野氏らが「それがいい」と同調。「民間会社任せ」の対応を修正し、官邸が直接陣頭指揮にあたる態勢づくりにやっと着手した。
ただ、関係組織との連携による事態把握や情報提供は混乱が続いている。枝野氏は15日午前6時40分過ぎの会見では、2号機の圧力抑制室破損を説明したが、その会見から約1時間後に保安院が午前6時14分に2号機で爆発があったことを発表。枝野氏の会見では爆発の説明はなかった。
与党・民主党内からも批判の声が強まっている。民主党は15日午前8時15分、官邸に文書で「最悪の事態を想定して、住民がどういう避難などをすべきか情報開示してほしい」と申し入れた。
菅首相は15日午前11時過ぎからの記者会見で国民に向けたメッセージを発表し、「1号機、3号機の水素爆発に続き、4号機でも火災が発生している。今後さらなる放射性物質の漏洩(ろうえい)の危険が高まっている」と説明。同原発から半径20キロ圏外への避難の徹底と、新たに半径20~30キロでの屋内退避を呼びかけた。
首相の会見は、枝野幸男官房長官が2号機の圧力抑制室(サプレッションプール)破損を発表してから4時間以上が過ぎていた。首相は「何とかこれ以上の(放射性物質の)漏洩拡大を防げるよう全力を挙げて取り組んでまいるので、国民には冷静に行動していただくよう心からお願い申し上げる」と訴えた。
これに続き枝野官房長官が会見し、2号機の爆発後に2~4号機付近で30~400ミリシーベルトという高濃度の放射線量が計測されたことも公表し、「身体に影響を及ぼす数値であることは間違いない」と認めた。
菅首相は15日午前5時半前、首相官邸で記者団に東電との統合本部発足を発表し、「憂慮すべき状況は続いているが、何としてもこの危機を乗り越える陣頭指揮に立って、やり抜きたい」と強調。その足で東京・内幸町の東電本店2階の統合本部を訪れ、「テレビで爆発が放映されているのに、官邸には1時間くらい連絡がなかった。一体どうなっているんだ」「あなたたちしかいないでしょう。撤退などありえない。覚悟を決めて下さい。撤退した時は、東電は100%つぶれます」と述べた。
統合本部は海江田万里経済産業相と清水正孝東電社長を副本部長とし、海江田氏を東電本社にほぼ常駐させる。同本部設置の背景には、次々と起きる事故に東電の対応や説明が二転三転していることに、官邸が不信感を募らせたことがある。枝野氏は「時々刻々と変わる状況に適切に対応するとともに国民に正確かつ迅速な情報を伝える必要がある」と説明した。
菅政権はこれまで東電から経過報告を受ける姿勢に終始していた。閣僚からは事態を楽観する声すら出て、玄葉光一郎国家戦略相は14日の民主党の地震対策本部会合で、経済産業省原子力安全・保安院の責任者の考えだとして、「絶対にチェルノブイリ(原発事故の二の舞い)はあり得ない、というのが彼らの見解だ」。枝野氏も14日夜の会見で「最悪の事態を想定しても、チェルノブイリと同じようにはならない」と強調していた。
だが、その後、15日未明にかけて燃料棒全体の空だき状態が続くなど事態の悪化を受け、首相が統合本部の設置を提案し、枝野氏らが「それがいい」と同調。「民間会社任せ」の対応を修正し、官邸が直接陣頭指揮にあたる態勢づくりにやっと着手した。
ただ、関係組織との連携による事態把握や情報提供は混乱が続いている。枝野氏は15日午前6時40分過ぎの会見では、2号機の圧力抑制室破損を説明したが、その会見から約1時間後に保安院が午前6時14分に2号機で爆発があったことを発表。枝野氏の会見では爆発の説明はなかった。
与党・民主党内からも批判の声が強まっている。民主党は15日午前8時15分、官邸に文書で「最悪の事態を想定して、住民がどういう避難などをすべきか情報開示してほしい」と申し入れた。
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