2011年4月15日12時11分
枝野幸男官房長官の15日午前9時50分の記者会見の内容は、次の通り。
【冒頭】
おはようございます。よろしいでしょうか。私から2点報告する。まず閣議の概要について。一般案件など6件と政令人事が決定した。大臣発言として、法務大臣から無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律の施行状況及び破壊活動防止法による団体規制の状況に関する国会報告について。中野国家公安委員長から無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律の施行状況に関する報告についてそれぞれ発言があった。
次に、閣議に先立ち開かれた第1回の原発事故による経済被害対応本部について報告する。この本部は福島原発による経済被害の対応について政府として基本的枠組みの検討を行うため今月11日に設置された。本日の会合では、本部長である海江田担当大臣より東京電力は避難、屋内退避による損害への充当を前提に、当面の必要な資金を可及的速やかに給付すること。その資金は、将来具体的な損害が確定した段階で発生する損害賠償額の仮払いと位置づけるものとし、政府は原子力損害賠償法に基づいて原子力損害賠償補償規約に適切に対応することを内容とする被害者に対する緊急支援措置についての説明があり、本日これを本部決定とした。政府として原子力発電事故により被害を受けた方や事業者が適切な補償を受けられるよう今後とも当本部で基本的な枠組みを検討していく。
なお議論においては農業、漁業などの被害を受けたみなさんへの緊急の対応、そして全体としての抜本的な枠組みについても今後鋭意できるだけ速やかに検討し、決定していくべきであるという当然の意見が出され、そのことも確認している。
なお本日決定したのは避難、屋内退避されている皆さんへの当面の資金の可及的速やかな給付の枠組みなので、具体的な給付については、関係市町村の協力も頂かないとならない。そうした段取りを踏まえて、該当するみなさんには改めて様々な形で連絡するよう努力する。今日の段階ですぐに明日から手続きが始まるわけではない。
【原発事故の被災者への対応】
――緊急時避難準備区域の住民にも支給するということか。
準備区域に今後指定が想定されている地域は、すでに屋内退避の指示を出している区域だ。屋内退避の指示を出した30キロ圏内のみなさんは、この対象であることが前提になっている。
――計画的避難区域も今後指定されれば、同じ枠組みの対象になるということでいいか。
はい。そういう前提で組み立てている。
【復興構想会議と復興増税論】
――復興構想会議で議長が復興税を提案したが、国民負担のあり方についての長官の考えは。
もちろん最終的には政治の責任、つまり内閣の責任で、判断していく必要があるが、まずは、復興構想会議を立ち上げて五百旗頭(いおきべ)議長はじめとして、民間の有識者にお集まり頂き、議長自身が話していたが、党派、与野党にこだわらず様々な意見を踏まえて復興構想を組み立てていく、作り上げていくという話があったので、まずはそうした復興構想会議のみなさんによる考え方を提起頂くことの中で、政府としての最終的な判断をしていくというのが、お願いした以上、諮問した以上筋ではないかと思っている。
【復興構想会議と原発問題】
――構想会議では、原発について議論しないことはありえないとの意見があったが、別枠で会議体を作る考えだったと思うが、変更があるのか。
当然事前の段階で諮問にあたり、政府として議長を予定していた五百旗頭先生とも当然意思疎通を図っている、昨日たまたま国会などの関係で短い時間しか出席できなかったが、ちょうどその部分の議論の時に出席していたが、決して違っている意見があったということではなく、若干位置づけが整理されていなかったというか、そのことの確認が必要だった。復興構想会議で、当然今回の震災、その一つの大きな要因が原発事故なので、これをどういう風に位置づけるのかは、当然議論の対象になる。
一方で、現にオペレーションしている原発事故を収束させるための具体的な話であるとかは、明らかに構想会議の話とは別だと。それから、実際に具体的な復興策については、収束の時期との関係で、原発の影響を受けていない地域とは明らかに時間的な違いがあるということも前提で、大きなものの考え方というか、当然ながら今回の原発事故についても構想会議で議論あるだろうということは我々の立場としても当初から想定していたし、五百旗頭議長もそうした整理をして頂いたと承知している。
【復興構想会議と復興増税論その2】
――復興を進めるにあたり、増税の必要性についてどう考えるか。
復興に向けて巨額の資金が必要なのはある意味で共通認識だ。当然政府としても様々な検討は必要だと思っているが、財源も含めて構想会議で議論するということなので、そこに諮問している立場なので、当然スピード感とか、状況の変化に応じて、最終的には政府の責任なので、対応しなければならない場合があることは否定しないが、まずは復興構想会議で今の政府の考えなり、与党の考え方などに必ずしもとらわれず、まさに国家ベースで議論頂くということで、五百旗頭議長はじめ、考えているようなので、それに先行して、政府なり私なりの考えを申し上げるのは、諮問してお願いしている立場なので、ちょっと順番が違う。
――昨日、極めて重い提言になると言ったが、提言に増税が出てきたら、それを尊重するのか。提言に増税が盛り込まれた場合は、増税の可能性があるということか。
ものすごく答えが難しい話。というのは、昨日申しましたように大変重いものであると思っているが、最終的に責任をもって決定するのは内閣であり、国会である問題なので、当然のことながら、国民に最終的に責任をもっている国会や内閣という立場で、その責任で判断する、決断をするべきことだというのが大前提だ。ただ、その判断をするにあたって、その性格からしても大変重い提言をいただくことになる。
【原発事故の被災者への対応その2】
――原子力災害被害に対する当座の資金は、いつごろまでに支給できそうなのか。
昨日、国会でも答えたが、私からはできるだけ早くと。それで、震災の被災者に対するお金がゴールデンウイーク前に早い方については何とか出せないだろうかということで、これも強く指示しているので、できうるならばそういったスケジュール感で進めてもらいたいというのを指示している。
ただ、どなたが対象地域の住民でおられたかということについては基本的には市町村の協力をいただかなければならない。市町村そのものも今回の原発事故によって避難をされて、被害を受けているという状況なので、急いで払うことのために市町村にあまり無理なことをお願いもできないという状況である。そのことを十分踏まえながら、できれば連休前にも早いところは支給できないだろうかということを最大限努力をしている。
――具体的な金額は東電が決めるのか。100万円という金額も取りざたされているが。
これについても最終的な確定はしていないが、これも国会などで答弁しているし、海江田大臣からもこの後報告あろうかと思うが、これは震災被災者に対する1世帯あたり100万円を基準とした支給と横並びというか、そういったことがまずは、この段階での仮払いとしては必要だというのが基本的な考え方だ。
――基本100万円で、条件によって70万円とか75万円という報道もあるが。
対応本部、本部長海江田担当大臣と東京電力との間で最終的な調整をしている。
――損害賠償の指針の文章にある「避難」というのは、政府による指示を受けた避難だけではなくて、市町村の判断による避難、個人の判断による避難も含まれるのか。
まず基本的には避難について、20キロ圏内について避難の指示をした。20~30キロについては屋内退避の指示をしたが、自主的に避難されている方もいる。自主的に避難されているか、それとも屋内退避をずっとされているかということに関わらず、30キロ圏内のみなさんについては今回の仮払いの対象と考えている。
【復興と社会保障制度改革】
――復興には、広い意味で社会保障の立て直しも含まれるが、税と社会保障の一体改革の議論はどうしていくのか。
税と社会保障の一体改革については、震災発生以来約1か月余り、政府を挙げて震災対応に全力を挙げてきているなかなので、当初予定されていた段取りが踏めなくなってきている。ただ、与謝野担当大臣のもとで震災対応に影響のない範囲での実務的な作業は進めてきていただいている。震災対応との兼ね合いということでしか申し上げようがないが、そうした実務的なできる詰めは進めていただく一方で、震災対応の状況を踏まえながら判断をしていくというのが現時点で申し上げられることだ。
【西岡参院議長の首相退陣要求】
――西岡議長が首相に対して事実上の退陣を求める発言をした。
現に震災で多くの方が苦労している状況。そして原子力発電所の事故で多くのみなさんに迷惑をかけている状況だ。政府としては全力を尽くしてきているつもりだが、様々な意見があるのは当然だろうと思っているし、特に実際の被災をされているみなさんの声、思いは重く受け止めながら対応していかなければならない。
そうしたことのなかで、様々な意見があるのはある意味当然だろうと思うが、その一方で、震災対応も原発事故対応も今、一日たりとも力を弱めるわけにはいかない。現に内閣を構成している立場としては、様々な意見があることは真摯(しんし)に受け止めながらも、今与えられている責任を日々全力を尽くしていくことに尽きる。
【小沢一郎元代表との会談】
――民主党の小沢元代表が首相と会談したいとの意向を示しているという報道があるが、首相は応じるのか。
そういった報道があることは承知をしているが、それ以上のことは存じあげない。
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