Saturday, April 16, 2011

01/04 枝野官房長官の会見全文〈1日午前〉

2011年4月1日13時7分

 枝野幸男官房長官の1日午前の閣議後会見は次の通り。

 【冒頭】

 「本日の閣議について報告する。一般案件など8件、政令、人事を決定した。大臣発言として江田法相、中野拉致担当相から人権教育啓発に関する基本計画の一部変更について、人権教育啓発のなかに拉致問題も含めると決めた。外相から平成23年版外交青書について発言があった。蓮舫行政刷新相から公文書管理に関する法律の施行について、関係省庁においてしっかりとした文書管理をするようにと発言があった。片山総務相から平成23年度の普通交付税の6月分の繰り上げ交付について発言があった。今回の大震災を踏まえ、7月分の交付と、それから6月分の繰り上げ交付を震災関連自治体に対して前倒しで行い、1兆円弱をすみやかに交付する。野田財務相からは平成23年度予算の成立にあたって発言があった。公共事業等の復興に当たって、5%程度を震災に向けられるよう執行で工夫をする」

 「閣僚懇談会では、私から閣僚の給与一部返納について申し上げた。これまでも閣僚については俸給の10%返納をしている。これに加えて、昨日、国会議員の歳費を50万円ずつ6カ月間減額するという法律が成立した。これをそのままにすると、国会議員である閣僚などの俸給は、国会議員の歳費との差額分が支払われることになって、国会議員としての歳費の減額の効果が国務大臣には及ばないことになってしまうので、それに相当する毎月50万円分を自主返納のかたちでしっかりそろえる。同様の趣旨から、副大臣、政務官、あるいは補佐官などについても同様の措置を順次とって、食い違いのないようにする」

 「それから、総理の被災地訪問について申し上げる。菅総理大臣は明日4月2日午前中に、自衛隊のヘリコプターで官邸を出発し、日帰りで岩手県陸前高田市の被災地、避難所を訪問するとともに、福島県双葉郡のJヴィレッジを訪問し、原発事故の対応にあたる自衛隊、消防、東京電力関連職員の激励をする予定だ。なお、天候によって自衛隊ヘリが飛行できない場合には、翌4月3日に順延する」

 【地下水の放射能汚染】

 ――福島第一原発について、東電が昨晩、地下水から高濃度の放射性物質を検出したと発表したが、その後、数値が間違っているかもしれないと改めて発表するとしている。これについての経緯と対応は。

 「私も今回の原発事故以降、こうした照会をしたが、それぞれの水の中に放射性物質がどう入っているのかというのは、直接的に何がどれぐらい入っているというふうに機械的にでるのではなく、さまざまなデータを分析するなかで、どういった物質がどれぐらい入っているかで判断される。全体を見たときに、他の放射性物質との比較の上で必ずしも自然ではない数値のものが含まれていたということで、きちっと再計算ということで再度、東京電力で精査していると報告を受けた。ただ、いずれにしても地下水に一定の放射性物質が含まれているという状況になっているということなので、当然のことながら、海水、周辺地域に対する影響について、今後ともしっかりとモニタリングをしていかなければいけない」

 【避難解除の時期】

 ――原発事故の中長期対応について、いつごろまで冷温停止を目指すか、いつまで避難を余儀なくされるのか、政権としての目標は。

 「目標は、できるだけ早くということに現時点ではつきる。様々な状況が日一日とある意味では明確になっている状況だ。当然、避難されている皆さんにはできるだけ見通しの可能性についてお示しをする必要があると思っている。政府の対応としてどれぐらいの期間、避難が必要であるかを踏まえ、避難される皆さんへの支援について対応していかなければならないと思っている。ある程度の見通しが立てられれば、できるだけそれを示したいと思っている。ただし、現状では具体的な期間を言える状況ではない。一定程度、長期になるというのは残念ながら見通せる状況なので、お子さんたちの就学の関係、学校の関係、それから仕事などの関係については、そうしたことをふまえ対応するよう経済産業省に指示している。あるいはこの間、地元自治体の皆さんと相談しつつ、一時帰宅ということについて模索・検討しているのも、一定程度の長期に及ぶであろうという想定の下で、こういったことの可能性について模索している状況だ」

 ――一定程度というのは、数カ月なのか、数年なのか。

 「原子力発電所の状況をどう収束できるかによって当然それは変わってくる問題だ。現状ではできるだけ早くと全力を挙げている。これはあらためて原子力安全・保安院を中心に一定の見通しをつけなければならない段階だとは思っているが、数日とか数週間で避難を全面的に解除できる状況ではない、ということは間違いない。従ってお子さんの就学、仕事にしっかりと対応する」

 【東電への政府支援】

 ――東電への政府の支援策について。一部報道では国が関与のため出資を検討しているとあるが、事実関係と検討状況は。

 「現時点で政府として方向性としてはっきりしているのは昨日私が申し上げたとおり、東京電力には事態の収拾の上でも、現場の作業員を中心に全力を挙げていただいている。そして避難されている皆さん、影響を受けている皆さんに対する責任をしっかり果たしていく。さらには電力の供給を受けている多くの東京電力管内の皆さんに対する電力供給の責任を果たしてもらう。大きな責任があるので、それについては政府としてもしっかり支援をしていく。支援の具体的なやり方について、いまの時点で、こういうやり方をやるということを決めていることはない」

 ――いつごろまでにスキームを決めるのか

 「様々な客観状況をみながら、詰めていかなければならない。一つはやはり原子力発電所の事態の収拾を急がなければならない。このことに、東京電力もある意味では計画停電などのことあるが、総力をあげてやっていただいている。原子力関連の部局も総力をあげてやっている。そうした状況の中で、たとえば、様々な状況の落ち着き方、進行の仕方をみながら、色々なことは検討、具体化をしていかなければならない。もちろん当然、現時点でも、関係部局においては様々な可能性についての検討はしているが、それを政治的に方向性を決めていくというのは、そうした状況をみながら進めていくことになろうと思う」

 ――その選択肢の中には出資も入るのか。

 「逆にこの間、この場では何かの可能性について『可能性がある』と言えば、それが有力であるかのような報道がなされる経験を何度かしてきている。そういった意味では正確に申し上げると、否定された選択肢の中には入っていないというのが正確な言い方かもしれない」

 【防災服】

 ――防災服を脱いだのはどういった狙いか。

 「今日現時点においても、現場、被災地の現場においては様々な作業にあたっていただいている方々がたくさんいらっしゃる状況だ。一方で、政治全体あるいは私どもの役割としては、そうしたみなさんをしっかり支援、応援していくと同時に、被災地の復旧そして将来の復興へと向けた、様々な次に向けた作業というか仕事も進めていかなければならない段階に入っている。作業している現場のみなさんと一体となってやっているという部分と、さらにその次を見据えてしっかりと役割を果たしていく部分と、両面があると思っているが、いつまで現場のみなさんと同じ姿勢で服装でということと、一定の次に向けた政治、行政の責任だと思うが、そうしたことに向けて進んでいるんだという姿勢と、どこかでばしっと切れるものではないわけだが、復旧復興という次に向けた政府としての役割、しっかりとそういった部分にも歩を進めつつあるんだという段階には入っているというようなことで、平常時の服装に替えたということだ」

 ――閣議で大半は防災服を着ないようにと意思統一したのか。

 「逆に国交相や経産相などは現場と同じ服装姿勢で臨んでいる。私なり総理なりは今日からこうする予定です、ということは昨日お伝えしている」

 【復興関連法案】

 ――復興庁の設置や特別法案の提出予定。具体的に決まっているものはあるか。

 「色々な報道がなされているし、この間、当然こうした大きな事態に対しては、与党はもとより野党のみなさんも、あるいは様々な民間のみなさんも政府においても、関係すると思われる各部局においては様々な検討、知恵、アイデアなどを議論あるいは整理いただいてきている、と理解している。ただそれを政府として、日本国としての方針で整理して固めていく作業はこれからいよいよ本格化していくという状況であり、現時点において何か確定的なものがあるかということはない。これについては内閣官房で、私の元で基本的に整理し、とりまとめることになっているので、私のところで決まっていることがないということは、決まっていることはないということで間違いない」

 【補正予算】

 ――補正予算の提出はいつごろを目指すのか。

 「財務大臣、あるいは党の政調会長などと私も若干の相談は始めているところだが、現時点で確定的な時期を申し上げる段階ではない。もちろん必要性があるのは間違いないわけで、これはみんなで共有しているところだ。できるだけ速やかに、ということについては共有している」

 【首相の被災地視察】

 ――総理の視察の場所を二カ所選んだ理由は。

 「広範な被災地がある。それぞれの被災地ごとにそれぞれの事情、状況があるということの中で、かといってすべての被災地を回ることはできない状況の中で、どこか一カ所を選ぶというのはなかなか難しいことで、なおかつそれについて明確な基準があって選べるものでもないので、総合的な考慮・判断に基づくとしか申し上げることができない」

 【被災世帯への一時金】

 ――津波で家を失った世帯に一律100万円を支給するとの報道は。

 「津波などで被害を受けられたみなさんは、広範にわたって広い地域にわたっていて、なおかつ自宅などの復旧とか仕事とかが従来の仕事に戻られるのは過去の阪神などの震災と比べても相当長期にわたることが残念ながら予想される状況にあるので、そうしたみなさんの当座の生活をこの避難所とは別に考えていかなければならない、ということは鋭意、検討進めているところだ。最終的にそれをどれくらいの金額でどういうやり方でということについてはいままだ検討している途中という状況だ」

 【牛肉から放射性物質】

 ――福島県産の牛肉から放射性物質が検出された。

 「牛肉についてもしっかりと検査しているということをまず理解いただきたい。そして今回一件だけ検査の中で数字がでてきているので、その詳細、どういったところでどういう育ち方をした牛肉なのかを含めて、健康への被害などを広範に考慮しなければいけないということについて、いま分析をしているところだ。ただ、現時点で出てきている数字そのものは、万が一、それが食に供されても健康に被害を与えるものではない」

 「これはよくこの場で申し上げているが、放射線による影響というのは、一瞬に大きな放射線を受けて、そのことが健康被害につながるケースと、決して多くない放射線量だが、長期にわたって体内に取り込まれ、あるいは放射性を浴びるということで健康に影響を及ぼすケースと二つのケースがあるが、少なくとも一瞬受けることによって健康に影響を及ぼすということとは全然異なった数値である。ただそれを長期にわたって継続して摂取した場合には、健康に影響の出る可能性があるということで、それについてしっかりと精査しているという状況だ。現時点で流通されている食肉等については、不安なく対応していただいて大丈夫だと認識している」

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