Wednesday, March 23, 2011

23/03 岩手県、沿岸部被災者の集団疎開検討 内陸へ2~3カ月

2011年3月23日15時3分

岩手県が、地震と津波で壊滅的な打撃を受けた沿岸部の被災者を対象に、内陸部への「集団疎開」を検討していることが分かった。希望する被災者が対象で、受け入れ先の宿泊施設は、既に県内で約120施設9500人分のめどがつきつつある。

県はすでに19日、釜石市の避難所の25人を、北上市の公共宿泊施設に貸し切りバスで試験的に移動させた。大きなトラブルはなく、26日から釜石市、大槌町、山田町の希望者460人を内陸部の温泉宿に運ぶなど移動を本格化させる予定。既にバス11台を予約した。今後、被害の大きい陸前高田市や大船渡市、宮古市の避難所でも希望者を募り、順次移動させる方針だ。


県は震災後、県内の宿泊施設を対象に「1人あたり1泊3食付きで5千円」の条件で引受先を募集。災害救助法に基づく国からの給付金で全額補填(ほてん)される。滞在期間は2~3カ月程度を想定。対象者数に上限は設けておらず、県内で収まらない場合は他県への移動も視野に入れるという。すでに秋田県などが協力を申し出ている。

対象となるのは沿岸部の被災者。県警の23日時点のまとめでは約370カ所の避難所におよそ4万4千人が身を寄せているが、被災者であれば、避難所にいない人でも対象になるという。

広大な沿岸部に生活圏やそれに伴う避難所が点在する岩手県の場合、電気から風呂、トイレなどを各避難所でくまなく復旧させるのには相当な時間がかかるため、住みやすい環境に移動してきてもらう狙いだ。県政策推進室は「不十分な環境下での集団生活が長びけば、健康を害する人も増える。あくまでも希望次第だが、なるべく多くの人に移動してもらいたい」。

また、物資供給の面でもメリットが大きい。散らばった避難所それぞれに物資を届けるには大量のガソリンと費用がかかるうえ、道が狭く運搬用の大型トラックが入りづらい場所も多い。市役所などの拠点までは届いている物資が、枝葉の避難所まで行き渡らない例もある。同室は「物流の拠点に近い内陸部に、人の方が移動してきてもらえれば、効率的かつ十分に物資を届けられる」としている。(赤井陽介)

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