Wednesday, March 23, 2011

23/02 大手銀、東電に緊急融資へ 修理費、まず1千億円規模

2011年3月23日3時5分

 三菱東京UFJ、三井住友、みずほコーポレートの大手3銀行は東京電力の要請を受け、月内にも総額1千億円規模の緊急融資をする方向で調整に入った。さらに、発電所の修理などで計1兆円規模の資金が必要になる可能性がある。このため、3行は追加融資を検討しているほか、政府も政府系金融機関を通じた融資の準備を始めた。

 大手行や政府が東電向けの緊急融資を検討しているのは、福島第一原子力発電所の事故が続いている時に、復旧を担う東電が資金繰りに窮するのを避けなければならないとの判断からだ。電力不足に対応する必要もあり、とりあえずは資金支援をせざるを得ないとの考えもある。

 関係者によると、東電は先週、東日本大震災で事故を起こした福島第一原発や故障した火力発電所の修理などに資金が必要だとして、3行に緊急融資を要請してきたという。3行は当面の資金としてまず1千億円規模を貸し出す方向で東電と調整している。

 東電はこれまで、「社債」を発行して幅広い投資家から資金を借りてきた。しかし、今回の原発事故で信用を失ったため、社債を出しても資金が集まらない可能性があり、銀行からの融資に頼らざるを得なくなった。

 東電はこれから原発を安定化させるための修復費用が必要になる。電力不足を補うため、大震災で壊れた福島県や茨城県内の火力発電所も修理しなければならない。火力発電に使う重油の購入や、これまでの社債による借金返済にも備える必要がある。

 これらを足し合わせると1兆円規模になる可能性があるという。緊急事態のため、主力取引行の三井住友とみずほがそれぞれ4千億~5千億円、三菱東京UFJも数千億円規模で融資できるかどうかの検討を始めた。

 政府も「危機対応融資」を活用できるよう調整している。これは、政府が「財投債」を発行して調達した資金を日本政策金融公庫に貸し、同公庫が日本政策投資銀行や商工組合中央金庫などを通じて融資する仕組み。財投債は融資先企業からの返済で返すが、損失が出た場合は最終的に税金で穴埋めする可能性がある。

 政府はこの融資の上限額を1社につき20億円としてきたが、上限額を撤廃して多額の資金を貸し出せるようにする。政府が準備する資金枠も今の約1兆5千億円から数兆円規模に増やす方向で検討している。融資の拡充策がまとまれば、政投銀が東電に貸し出す方針だ。政府は金融危機が落ち着いたため、新年度から資金枠を1320億円に大幅縮小する予定だった。

 ただ、東電は1兆円規模の必要資金とは別に、原発事故の補償などでさらに巨額の資金が必要になる可能性がある。これらの資金の手当ては今後の検討課題になる。

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