Wednesday, December 14, 2011

厚労省:有期雇用期間に上限 無期へ転換義務づけ方針


毎日新聞 2011年12月14日 22時38分

 厚生労働省は14日、派遣労働者や契約社員に代表される、雇用期間を定めた有期雇用契約について、契約期間に上限を設け、働いた期間が上限を超えれば雇用期間に定めを設けない無期雇用への転換を企業に義務づける方針を示した。義務づけの対象は、無期雇用への移行希望者とする。雇用を安定させ、非正規雇用労働者を保護する狙いがある。上限期間は3~5年を軸に今後、さらに検討する。
 厚労相の諮問機関、労働政策審議会労働条件分科会に提示した。同省は、同審議会で労使の合意が得られれば年内に報告書をまとめ、来年の通常国会に労働契約法改正案などを提出する意向だ。
 厚労省の推計によると、現在有期雇用の労働者は約1200万人で、全労働者の4分の1を占める。労働基準法上の契約期間は原則3年だが、更新はできる。厚労省の調査(11年)では、最多の勤続年数は「1年超~3年以内」(25.7%)である一方、「5年超~10年」(17.8%)や「10年超」(11.7%)と長期間働いている人も少なくない。
 ただし、更新時期ごとに契約打ち切りの恐れがあり、有期雇用の労働者は不安定な立場に立たされている。このため、厚労省は一定期間以上雇った労働者については、本人の申し出があれば無期に転換することを義務づけ、雇用を安定化させる考えだ。
 それでも、上限を設けると、その前に企業が契約を打ち切る「雇い止め」を招く恐れもある。14日の同分科会では、経営側の委員が上限期間について「人材の見極めなどに必要な、十分な年数が確保されなければ雇い止めせざるを得ないかもしれない」と発言する場面もあった。
 また、厚労省は無期雇用に変わった後も「有期契約時の待遇を引き継ぐ」としており、正社員との賃金や昇進をめぐる格差は残る。【鈴木直】

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