Wednesday, December 14, 2011

01/12 12月1日付 よみうり寸評

 「失った時間は返ってきません」と前川彰司さん。福井市の女子中学生殺人事件で逮捕されてから24年、再審請求から7年、昨日ようやく、再審開始が認められた◆〈真昼の暗黒〉という言葉を思い出す。昭和20年代の冤罪えんざい事件を描いた映画のタイトル。ラストシーンで被告が鉄格子ごしに「まだ最高裁がある」と叫ぶ◆が、前川さんの場合は、1審で無罪だったのに、2審で懲役7年の逆転有罪、さらには最高裁で上告棄却。刑が確定してしまったのだから〈暗黒〉の度も深い。「まだ再審がある」と訴え続けた◆その結果がきのうの再審開始決定。「前川さんと犯人とを結びつける客観的事実は一切存在しない」と名古屋高裁金沢支部(伊藤新一郎裁判長)◆この判断を導 いた新証拠には検察が初めて開示した解剖写真や調書などがある。これらが判決確定までに出ていたらどうだったか?◆証拠改ざんは論外だが、今後、検察は証拠開示の公正、公平に一層努めなければなるまい。前川さんは「どうしてくれる」の思いだ。
(2011年12月1日13時49分  読売新聞)

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