Wednesday, December 14, 2011

04/12 12月4日付 編集手帳 現在のロシアでは考えられないだろうが、

 現在のロシアでは考えられないだろうが、旧ソ連の崩壊前夜、1990年ごろは、たばこのマールボロが、非常に流通力のある「通貨」だったそうだ。本物のお金の価値が日々、下落していくからだ◆吸われることなく人から人の手へ渡るため、硬いボックスタイプの輸入たばこが歓迎されたという。当時を知る同僚からの受け売りである◆似た話だが、北朝鮮ではなんと「チョコパイ」にすごい価値があるらしい。これは韓国紙の記事に教えてもらった。南北境界線付近の北側に韓国企業が工場を作り、北朝鮮の人を雇っている「開城ケソン工業団地」で、おやつとして毎日1人に3~4個、韓国製チョコパイが配られる。だが食べる人はいない。闇市に持っていけば確実に高値がつく。 北朝鮮労働者の間でチョコパイの貸し借りも広がっているとか◆翻って日本では――円の価値が上がり過ぎたまま戻らない。日本経済が強くなったわけではないと言うのに。輸出企業の悲鳴は日に日に大きくなっている◆冬本番を迎え、風は急に冷たさを増してきた。"お金の価値"という得体えたいの知れぬものに、思い悩む師走である。
(2011年12月4日01時09分  読売新聞)

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